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「備え」は今

熊本地震1年/中 受援計画 実効性欠かせぬ訓練

 「他県への職員の派遣要請で、業務の内容や量の精査が十分でなく過不足が生じた」「応援県から宿泊先の提供や紹介を求められるなど、対応に苦慮した」。熊本県が3月31日に公表した、昨年4月の熊本地震の応急対応に関する検証報告書。事前に外部からの支援受け入れの手順などを定めた「受援計画」を作っていなかった問題点が列挙された。

     知事会などを通じて災害時の連携を確認する協定締結は進んでいるが、実際に支援を受けるための準備が遅れている。総務省消防庁の調査では全国市町村の約98%(2016年4月時点)が広域応援協定を結んでいるが、受援計画を策定しているのは約11%(14年の総務省勧告)にとどまる。一方で熊本地震で受援計画への関心は高まった。毎日新聞が実施した都道府県アンケートによると、熊本地震を受け、少なくとも22都県が作成や検討に動き出している。

     熊本地震では発生当初、九州地方知事会などを通じ熊本県や県内市町村に県外自治体から延べ約10万人の応援職員が派遣されたが、県も市町村も受け入れ計画がなく混乱した。最大震度7を2回観測した同県益城(ましき)町は応援職員を効率的に配置できず、町職員が通常業務とかけ持ちしながら避難所運営に当たり、担当課は「負担が重くなり、避難所以外の業務が停止するなどの影響が出た」と悔やむ。

     神戸市は13年、全国に先駆けて受援計画を作った。阪神大震災の被災体験と、東日本大震災に応援職員を派遣した経験を反映。応援職員に担ってもらう業務として避難所の運営や被災建物の応急危険度判定、罹災(りさい)証明書の発行など130業務をリストアップした。応援職員に求める資格なども明示し、応援側が内容を確認できるようホームページで公開している。しかし結果的に、この取り組みがなかなか広がらなかった。

     過去の災害の教訓が生かされていない現実を受け止め、内閣府は昨秋に有識者検討会を設置し、自治体が受援計画を作る際の参考となる初のガイドライン作りに着手。3月31日に内容を公表し、災害時に応援の受け入れ調整を一括して担う専門班を災害対策本部に設置することなどを盛り込んだ。松本純・防災担当相は同日の閣議後会見で「大規模災害への対応力を向上させてほしい」と強調した。

     自治体の中で具体的な取り組みが出てきている。県内市町も含めて受援計画がなかった山口県は3月に計画を策定。山梨県も3月に計画を作り、奈良県は今年度にマニュアル作成に向けて動き出す。熊本県の担当者も、熊本地震の反省を踏まえて「被災後、どの段階でどれぐらいの規模の業務が発生するか想定できていなかった。今後の計画に反映したい」と語る。

     受援計画作りが進み出したが、識者は注文する。内閣府検討会の委員を務めた「人と防災未来センター」の宇田川真之研究主幹は「計画をつくるだけで安心してはいけない。確実に実行できるよう、訓練を重ねることが重要だ」。

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