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「備え」は今

熊本地震1年/下 連発対策 「想定外」繰り返さない

 「『想定外』だった熊本地震の被害を認識してもらいたい」。28時間のうちに最大震度7の揺れが2度襲った昨年4月の熊本地震に衝撃をうけた高知県は3月、家庭向けの防災冊子を改定して県内31万世帯への全戸配布を始めた。倒壊家屋や土砂崩れなどの熊本の現場写真を掲載して激震の「連発」へ警鐘を鳴らした。

     熊本地震では震度7の連発とその後の強い余震が被害を拡大させた。4月14日の前震後に屋外避難していた人たちが自宅に戻った同16日に本震が発生し、倒壊家屋の下敷きになるなどして熊本県内で死者が急増。同県の益城町など8市町の庁舎が損壊して使用停止に追い込まれた。震度6クラスでは倒壊しないよう耐震化していたものもあった。

     昨年5月の毎日新聞の取材では都道府県の地域防災計画で震度7の連続発生は想定していなかった。しかし毎日新聞が熊本地震1年に合わせて実施した都道府県アンケートでは、連発を踏まえ、30府県が防災計画や庁舎耐震化などの対策を「見直した」または「見直し予定」と回答した。

     高知県は、南海トラフ地震対策の行動計画を3月に改定した。熊本では避難所の天井材や照明器具などが落下して使用不能に陥ったケースがあった。そのため高知県は避難所の学校体育館などで落下事故を防ぐ安全対策を前倒しで実施している。同県の担当者は「避難所は絶対に守らなくてはならない」と語る。

     熊本地震を考慮し、岐阜県は市町庁舎の耐震化を促している。県内の主要な活断層について2回の地震が起こるケースなどを想定し、震度分布も再検証する。

     地域防災計画そのものの記述を見直す動きも相次ぐ。香川県は2月に「県民は断続的な強い揺れが沈静化するまでは、安易に家屋などに戻らず、指定避難所などで避難を継続するよう努める」と明記。神奈川県も「熊本地震では強い揺れが連続し、余震も長く続いた」と記した。

     熊本では支援物資の流通拠点も損壊し、混乱が増幅した。県地域防災計画で「広域防災活動拠点」と位置づけられ救援物資の集配拠点になるはずだった益城町の県産業展示場「グランメッセ熊本」は天井などが損壊し使用できなくなり、県庁のロビーが物資で一時占拠された。国が急きょ、佐賀県で大手運送会社の物流施設を確保して物資を被災地に搬送した。熊本地震後、岩手や群馬、兵庫、宮崎、鹿児島各県などが自らの県域以外に拠点を持つ運送会社と物流協定を結んだ。

     兵庫県立大大学院減災復興政策研究科長の室崎益輝(よしてる)教授(防災計画)は「行政庁舎や避難所により高い耐震性能を持たせることや、住民への啓発など課題は多い。熊本地震を教訓にして、今後の災害で同じ問題を繰り返さないためにはどうすればいいのかを真剣に考えないといけない」と語る。行政だけでなく、国民一人一人への呼びかけだ。(この連載は樋口岳大、山下俊輔、中里顕、野呂賢治、取違剛が担当しました)

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