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シリア化学兵器と安保理 ロシアは決議を妨げるな

 この世の地獄に例えられるシリアで、また化学兵器が使われた。子供たちも含めて多くの人々が死亡した惨状をどう形容すればいいのか。

     現場は反体制派の支配地域。空爆時に猛毒のサリンや塩素ガスなどが使われたらしく、米国はアサド政権のしわざと見ている。

     一方、アサド政権を擁護するロシアは、反体制派の化学兵器が流出したと主張する。米英仏は国連安保理で決議を採択し、アサド政権に現地調査の受け入れを迫る方針だが、ロシアは拒否権を行使する構えだ。

     だが、アサド政権側にやましい点がないなら、ロシアが決議案を拒む必要もあるまい。米英仏などが求めるように、化学兵器禁止機関(OPCW)による調査に協力して積極的に疑いを晴らせばいい。

     そもそも国連とOPCWの調査では、アサド政権の化学兵器使用が少なくとも3回確認された。シリア関連の決議案に拒否権を使い続けたロシアの責任も無視できない。これ以上の拒否権は生産的ではあるまい。

     2013年にアサド政権が化学兵器を使った疑いが強まった時、米オバマ政権は武力制裁を予告した後に棚上げした。プーチン露大統領が仲介に入り、シリアは化学兵器禁止条約への参加と化学兵器の廃棄を約束した。これがOPCWのノーベル平和賞受賞にもつながった。

     だが、アサド政権が今回、化学兵器を使ったとすれば、ひそかに化学兵器を備蓄・製造していたことになる。これは禁止条約の違反であるばかりか、13年に事態を平和的に収拾しようとした国際社会への重大な裏切り行為ともいえよう。

     実態解明は絶対に必要である。

     ただ、米国の態度も一貫しない。トランプ大統領は「極悪な行為を看過できない」と述べ、米単独の軍事行動にも含みを持たせているが、先月末にはトランプ政権の閣僚がアサド政権の存続を許容する姿勢を見せていた。このことが政権側の化学兵器使用を呼んだとの見方もある。

     米国はシリア内戦をどう収拾したいのか、長期的な青写真が見えない。ロシアの意向も明確ではない。この際、米露は徹底的に話し合ってはどうか。戦いのための戦いは米露の利益にもならず、シリア国民をひたすら不幸にするだけだ。

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