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フロリダでの米中首脳会談 国際協調こそ繁栄の鍵だ

 米フロリダ州で行われたトランプ米大統領と習近平中国国家主席の初顔合わせは初日の夕食会終了とほぼ時を同じくして米軍がシリアをミサイル攻撃し、メディアの注目度は薄れた。具体的な成果も乏しかった。

     しかし、国際政治、経済に大きな影響力を持つ両大国の首脳が対話の必要性を再確認し、新たな包括対話の枠組みに合意したことは世界や地域の安定に大きな意味を持つ。

     トランプ氏は年内の国賓としての訪中招請に応じた。今後、米中両政府間で北朝鮮の核問題や通商問題をめぐる協議が進む見通しだ。世界に目を向けた合意形成が望まれる。

    北朝鮮の暴走を止めよ

     トランプ氏は多額の対中貿易赤字を背景に中国批判を繰り返してきたが、就任後は歴代米政権が維持してきた「一つの中国」政策の尊重を表明し、中国との関係構築に動いた。

     内政ではイスラム諸国からの入国禁止令などの選挙公約が実現できず、現実の壁にぶつかっている。対中政策が批判の材料にされることを避けたかったからではないか。

     一方の習氏は秋に指導部を入れ替える第19回共産党大会を控える。内政に力を注ぐため、対米関係や周辺環境を安定化させたいのが本音だ。今回の会談は双方の思惑が一致して実現したといえる。

     もちろん、米中の利害は異なる。トランプ氏がシリア攻撃に踏み切った背景には、北朝鮮にも軍事攻撃の可能性があることをにおわせ、中国に圧力をかける狙いがあったのだろう。トランプ氏は中国が有効な手を打てないなら、単独で行動する用意があると迫ってもいる。

     習氏は人道問題を理由にシリア攻撃に「理解」を示したという。中国はロシアと共にアサド政権への制裁や武力攻撃に反対してきた。メンツをつぶされた形にもなる。心中、穏やかではないはずだが、対米協調を優先させたともいえる。

     北朝鮮の核、ミサイル開発問題が深刻な段階に達しているという点では両首脳の認識が一致した。これは軍事衝突を起こさないためにも望ましいことだ。中国は北朝鮮に歯止めをかける、実効ある対策を求められることになる。

     経済問題では米中の貿易不均衡を是正するための「100日計画」を策定し、米国の対中輸出拡大策などを検討するという。関税引き上げなど保護主義的な手法では世界経済が萎縮する。中国が市場開放を進め、輸出主導の発展を内需主導に切り替えていくことが是正につながる。

     IT大国である米国は、中国が米国のインターネット企業の参入を認めていないことを批判している。中国は安全保障や治安対策を理由に規制を強めているが、見直すべきだ。

     習氏は保護主義的言動を強めるトランプ氏に対抗するかのように言葉では自由貿易やグローバリズムを擁護してきた。地球温暖化への対応も積極的に見えるが、実際に行動に移さなければ説得力はない。

    現実主義に立つべきだ

     中国が対米関係の指針としてきた衝突を避けるための「新型大国関係」への言及はなかった。中国は覇権大国と新興大国がぶつかってきた歴史を再現させないためと主張するが、米国内には南シナ海問題など米中の利害が対立する問題への介入を防ぐ狙いではないかとの警戒感がある。衝突を望まないなら、中国自身が力で現状を変更するような南シナ海や東シナ海での動きをやめ、周辺国との対話を優先すべきだろう。

     トランプ氏には時折、北朝鮮など安全保障問題をてこに中国に経済問題での妥協を迫るような言動が見られるが、原則のない取引は危険である。まして同盟国との相談なしに安全保障問題で中国と取引するようなことがあってはならない。シリア、北朝鮮への対応も一筋縄ではいかない。他国の協力が必要になる。

     大国とはいえ、2国間で解決できる課題は限られている。現実主義に立てば、米中ともに自国の力だけで繁栄を享受することができないことははっきりしている。

     グローバリズムの弊害はあるが、格差の拡大など問題点を克服しながら、自由貿易体制や国際協調を守っていくことが必要である。欧米などで排外主義的な動きが強まる中、国際協調、多国間主義の重要性はむしろ高まっているといえる。

     資源が限られた日本にとってはなおさらだろう。「自国第一」に傾きがちな米中両大国に国際協調を働きかけていくのも日本の役割だ。

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