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安保理でシリア決議案否決 身勝手すぎる露の拒否権

 シリアに関する国連安全保障理事会の決議案が、ロシアの拒否権行使で否決された。

     シリアをめぐる安保理決議案にロシアが拒否権を行使したのは8回目だ。国際平和に責任を負う安保理常任理事国が権力を乱用することは許されない。

     今回の決議案は、シリアで化学兵器が使用されたことを受けて、化学兵器禁止機関(OPCW)による現地調査への協力をシリア政府に求める内容だった。

     決議案の起草に加わった米国は、通信情報や衛星写真などをもとに、化学兵器を使用したのはアサド政権側だと断定している。政権を擁護するロシアはこれを認めず、反体制派が化学兵器を保有していたと主張している。

     ロシアは、シリア軍施設への立ち入りなどを求める条項に異議を唱えた。アサド政権側の化学兵器使用を前提とする一方的な表現になっているというのがその理由だ。

     しかし、使用者を特定して責任を問うには、政権側の施設も含めて調査するのは当然だ。化学兵器の使用は国際法違反である。政権側をかばうかのような身勝手な反対理由では説得力を欠く。

     ロシアに同調することが多かった中国も今回は棄権に回った。米中首脳会談の直後で米国への配慮があったのだろう。反対したのは安保理15カ国のうちロシアと反米政権のボリビアだけで、ロシアの国際社会での孤立を強く印象づけた。

     ロシアは、米国によるシリア軍事基地へのミサイル攻撃こそが国際法違反だと訴えている。だが欧州や日本が米国の行動に理解を示したのに対し、ロシアの訴えへの支持は広がっていない。

     安保理と並行してロシアで行われた米露外相会談では、オバマ前政権時代からの対立をこれ以上激化させないよう、協議の継続で合意した。国際社会で厳しい立場に追い込まれているロシアの方からは対話を断てない事情もあるだろう。

     その米露会談ではOPCWによるシリア現地調査に合意した。ロシアが安保理で反対を唱えたのは何のためだったのか。ロシアはアサド政権への影響力を行使し、調査への協力を強く働きかけるべきだ。

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