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インサイド

熊本地震1年/5止 ホームのため歩むロアッソ 「復興マッチ」の情熱、肌に

選手の練習を見守るロアッソ熊本の北嶋秀朗コーチ(左)=徳野仁子撮影

 熊本地震で2度目の震度7を記録した「本震」から1年がたった16日。J2・ロアッソ熊本の本拠地・えがお健康スタジアム(熊本市東区)のスタンドはチームカラーの赤で染まった。「復興支援マッチ」と銘打たれた松本戦。地震後、スタンドが初めて全面開放され、1万3990人ものサポーターが詰めかけた。地震をきっかけに熊本に戻ってきた北嶋秀朗コーチ(38)は「熊本がこの日にかける情熱を肌で感じた」と目頭を熱くした。

     地震が起きた昨年4月、北嶋コーチは広島のホテルにいた。その年の1月に3年半在籍した熊本を離れ、新潟にコーチとして就任していた。大きな被害が起きていることを知った北嶋コーチはすぐに熊本の関係者に連絡を取り、Tシャツやせっけんなど生活必需品の支援物資を送った。千葉県出身だったが、熊本は現役生活を終え、指導者としての道を歩き始めた「強い愛情のある場所」。もっと大きな支援も頭には浮かんだが、できないジレンマもあった。

     地震後、初めて熊本入りしたのは半年がたった10月下旬だった。「知名度は高くないので、行くだけで元気を与えられる存在ではない。逆に邪魔になるのではないか」。でも、その思いもすぐに消えた。飛行機で熊本空港に着陸する時、多くの家はブルーシートに覆われていた。益城町を車で回り、倒壊した家を目にして被災者に思いをはせた。

     遠く離れていても常に熊本のことが気になった。新潟は成績不振で監督がシーズン途中で解任された。同時に自らも責任を取って辞任した。複数のJチームからコーチの打診を受けたが、「選手を成長させてチームを勝たせることが一番の復興になる」と熊本への復帰を決めた。

     目指そうとしている光景がある。東日本大震災から2年後、プロ野球の楽天が日本一を達成して被災地に大きな感動を与え、復興の力になった。現在、J2にいる熊本にすぐさま当てはめることは難しい。日本一になるためには、J1昇格など越さなければならない高いハードルがいくつもあるが、「夢物語じゃなくて、そのことだけを見て戦いたい」と決意を語る。

     16日の復興支援マッチでは、スタンドに「熊本とともに」という横断幕が掲げられた。現役時代、柏、清水を経て、移籍がなければ縁もゆかりもなかった土地。再び戻ってきた北嶋コーチにとって、この日は「熊本のためにここにいる」と確認した特別な一日になった。

     地震から1年。完全な復興へは長い道のりになることは覚悟している。同時にそこに向けて歩み続けるという覚悟も新たにした。【佐野優】=おわり

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