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社説

山本地方創生相の放言 無理解とおごりの表れだ

 文化財保存の大切さや、学芸員の職務を全くわきまえない発言だ。

     山本幸三地方創生担当相が文化財観光の振興をめぐり、「一番がんなのは学芸員。一掃しないとだめだ」と語った。訪日外国人旅行者(インバウンド)による地方創生を、観光に関心がない学芸員が妨げているとでも思っているのだろうか。

     しかし学芸員は、資料の収集、保管、展示、調査研究などを行う専門職員である。文化財保護法は文化財を保存し、かつその活用を図ることを目的とする。山本氏は、こうした制度への理解を著しく欠いている。

     京都市の二条城について「文化財のルールで火も水も使えない。花が生けられない。お茶もできない」と述べた。これには事実誤認がある。

     昨年のイベントでは能や生け花が実演されており、二条城の関係者は「勝手に間違ったイメージを作っているのでは」と疑問を呈した。

     さらにがんの例えは、がん患者や家族への配慮がまるでないものだ。

     無理解とおごりによる放言というべきで、撤回して済むものではない。

     政府は昨年3月、2020年の訪日外国人の目標を年間2000万人から4000万人に倍増させた。

     目標達成に向け「観光ビジョン」を作っている。そのアクションプログラムには、学芸員や文化財保護担当者らに対し観光振興の講座を新設することなどが盛り込まれている。

     保存が中心だった学芸員の仕事の幅は広がりつつあるといえる。

     文化財を地域振興に活用するには適切な管理が求められる。いったん壊れたら元には戻せず、活用により価値が失われては意味がない。

     観光活用を進めるにも保存の知識を持つ学芸員が必要なのである。

     それにしても、今村雅弘復興相ら相次ぐ閣僚の失言は目にあまる。

     安倍晋三首相も東京都内の商業施設で、地元・山口県の物産を積極的に販売するよう「そんたくしていただきたい」とあいさつした。

     大阪市の学校法人「森友学園」への国有地売却問題をめぐり、官僚が首相の意向をそんたくしたのではないかと国会で追及されたことを皮肉るようにも受け取れる。

     責任を自覚しない言動が過ぎるのではないか。「1強」政権による気の緩みとみられても仕方ない。

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