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英下院の解散・総選挙 民意の熟成を図る機会に

 英国のメイ首相が議会下院を解散する方針を打ち出し、6月8日に総選挙を実施することが決まった。

     解散を否定してきた首相が突然、方針転換したのは、野党の「政治ゲーム」が欧州連合(EU)との離脱交渉を妨げているからだという。

     英国は昨年6月の国民投票でEUからの離脱を決めた。だが、離脱の意味や影響について事前の吟味が乏しく、禍根を残した。

     「英国の主権回復」「職を奪う移民労働者の追放」といった大衆受けする離脱派の訴えが支持を集めたが、根拠のない主張もあり、やり直しを求める声が出た。

     外国企業が撤退の検討を始めるなど離脱後の経済への影響が懸念されている。移民への暴力が頻発して社会の分断も生んだ。

     このため冷静に国の行方を考える機会が必要だった。総選挙が民意の熟成を図る機会になるのであれば、意味を持つ。

     メイ首相は、国民投票でEU残留を訴えて敗れたキャメロン前首相の辞任を受けて就任した。ただし、議院内閣制の首相として、総選挙の洗礼を受けていないことへの批判もあった。

     世論の動向から今選挙をすれば与党が議席を増やし、政権基盤を強化できるという計算も働いただろう。

     英国では、総選挙は原則5年に1回と定められ、次は2020年5月の予定だった。メイ首相は19年3月のEU離脱後も「移行期間」を設けて交渉を続けたいと考えており、総選挙が予定通りならばEU側との条件闘争が続く中で政権与党には厳しい選挙戦になるとみられていた。

     メイ首相は、欧州単一市場から完全撤退する「強硬離脱」を選択したが、議会にはこれに反対する勢力や、離脱すればスコットランドの独立を求めるという勢力もある。

     こうした政治闘争に決着をつけ、交渉開始前に国民の支持を得ることで、強い立場で交渉に臨みたいと考えたのだろう。

     しかし、与党・保守党が勝利を収めたとしても、逆に交渉方針の硬直化につながる懸念もある。EU側との交渉には決定的な対立を避ける柔軟さが求められる。総選挙でメイ首相は、EUとの関係構築に向けた冷静な議論を喚起してほしい。

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