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余録

畜産家が恐れる牛や羊の…

 畜産家が恐れる牛や羊の口蹄疫(こうていえき)の流行を英語で「フット・アンド・マウス・アウトブレーク」という。フットが足、マウスは口、水疱(すいほう)症状の出る2カ所を合わせて口蹄疫を指し、アウトブレークは大発生をいう▲以前もふれたが、フット・イン・マウス病というのはつい「失言」や「へま」をしてしまうくせをいう。間の抜けた失敗を表すのに自分の足を口に突っ込むという言い回しがあり、口蹄疫をもじって失言癖(へき)をそうからかったのである▲で、こちらのアウトブレークに見舞われたのは安倍政権である。閣僚はじめ政務三役の口に足を突っ込むような失言や失態が相次いで止まらず、ついに震災が「東北でよかった」と口にした今村雅弘(いまむらまさひろ)復興相が辞任に追い込まれたのだ▲まあ失笑をかうことも多い政治家の失言だが、こちらは被災者の胸に刺さる暴言である。発言した会場の空気が凍りついたのも当然だが、当人は自分の口に突っ込んだ土足に気づかなかったらしい。およそ政治家とは思えない神経だ▲今村氏自身、原発事故の自主避難者について「本人の責任」と述べた発言を撤回・陳謝したばかりである。高い内閣支持率を背景に閣僚らの失言や失態にも強気の姿勢を見せてきた首相だが、これには「任命責任」を神妙に口にした▲昔ならば「政権末期」と評されよう内閣のフット・イン・マウス・アウトブレークである。失言や失態は感染症ではない。その同時大発生に1強政権をむしばむ退廃を感じとっても的外れではないだろう。

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