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余録

京都で子どもの姿が数人ずつ消え始めたのは…

 京都で子どもの姿が数人ずつ消え始めたのは宝永2(1705)年春だった。宝永のおかげまいり、つまり集団伊勢参拝の発端という。この時は女性や子どもをふくめ360万人以上が参宮に加わったといわれる▲この時の見聞を記した伊勢の神官の記録には、着の身着のままで家や奉公先から抜け出した人々のために伊勢の住民あげての施行(せぎょう)や接待が行われたとある。町々や家々に仮小屋を建てての炊き出し、宿の提供、路銀(ろぎん)の供与まで行った▲足の弱い子どもたちや障害のある人々が不思議な老翁(ろうおう)や道者の力で無事に参宮を果たしたという話も多い(鎌田道隆(かまだみちたか)著「お伊勢参り」中公新書)。沿道各地のさまざまな人々の手助けや施しが手厚く行われていたことをうかがわせる▲「他の諸国民と違って彼ら(日本人)は非常によく旅行する」は、同時代に江戸に旅をした出島(でじま)の医師ケンペルの言葉だ。道中には粗末だが親切な宿や茶屋が整っていたという。人々の旅心は旅人をもてなす心と表裏一体だったのだ▲先月29日からのゴールデンウイーク(GW)だが、5連休に入るあすが国内、海外ともに旅行の出発のピークになりそうだ。旅行会社によるとGW期間中に旅に出る人は2300万人を超える。ご先祖譲りの旅好きの血は健在のようだ▲昔の伊勢参りも旧暦の4月ごろからがシーズンだったようだから、ちょうど今ごろだろう。新緑の野山の輝きは昔も今も変わるまい。どの土地のどんな旅人も親切にもてなした心意気の健在も信じたい。

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