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社説

介護保険改革が残す課題 地域の主体性を高めよう

 介護保険関連法改正案が今国会で成立する見通しとなった。

     介護保険の給付総額は制度発足当初の3・6兆円から現在は10・4兆円となり、2025年度には21兆円まで増える見込みだ。

     今回の改革は高齢者の要介護度の平均値が改善するよう自治体に求め、地域が抱える課題の解決を促す内容だ。給付費の抑制と共に、高齢者の生活の質を高め、地域住民の生きがいにつながる可能性がある。

     改革の方向性には賛成だ。ただし、どのように自治体と住民の「自立」を図っていくのかという課題が残されている。

     高齢者の介護予防や重度化の防止は、介護保険を運営する市町村の重要な役割である。改正法案では各自治体がヘルパーの数や利用度など地域の抱える課題をデータ分析し、事業計画に重度化防止の内容や目標を記載することを義務づけた。国は目標の達成状況を公表し、効果を出した自治体に財政支援をする。

     埼玉県和光市や大分県では多くの職種が連携し、要介護認定率を改善することに成功している。こうした好例を全国に広げようというのだ。

     ただし、要介護度の高い人や改善の見込みのない人をよりコストの高い医療機関に回し、認定率の改善を図る自治体が出てくる恐れもある。介護費が減っても、医療費が増えてしまっては本末転倒だ。

     認定率の変化という「結果」だけでなく、地域ケア会議の開催状況などの「プロセス」も評価した上で国は財政支援するという。自治体の努力を的確に反映できるかがカギだ。

     また、高齢者への介護サービスを障害者支援事業所も行えるよう規制が緩和される。介護保険にない就労支援サービスを受けて働くことで、要介護度が改善した例もある。多様な事業所の参入が期待される。

     社会福祉法も同時に改正され、小さな圏域ごとに生活課題を解決する体制づくりを市町村に義務づける。地域住民が主体となる「地域共生型福祉」を進め、高齢者を孤立や疎外から守ろうというのである。

     これまでは介護サービスの削減と負担増で制度の維持を図ってきた。「質の転換」を目指す今回の改革の成否は、自治体や住民がどれだけ本気で取り組むかにかかっている。

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