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社説

広がるサービス見直し 快適・便利の裏側考えたい

 ヤマト運輸が配送現場の負担を減らすため、宅配の時間指定を一部廃止する。働く環境を改善して、人手を確保しやすくする対策だ。

     消費者はこれまで、企業が提供するサービスを当然と受け止め、快適さと便利さに浴してきた。

     だが、その裏側に過重な労働を強いられる人はいないのだろうか。労働人口が減少に向かう時代の流れもふまえ、問い直したい点である。

     サービスの再検討は、さまざまな業界で進んでいる。

     ファミリーレストランのロイヤルホストは24時間営業を全面廃止した。すかいらーくや日本マクドナルドも深夜営業の店を減らしている。

     イオンは、首都圏1都2県の大型店の約7割で開店時間を繰り下げた。中堅スーパーや都心の駅ビルなども相次いで、夜間や24時間の営業を見直している。三越伊勢丹は昨年から首都圏の多くの店で正月の初売りを1月2日から3日に遅らせた。

     サービスを提供する時間を増やせば、消費を取り込み、業績は伸びるというのが定説だった。「冷蔵庫は24時間動いているし、配送や掃除、商品の陳列も夜の方が効率がいい」と言った経営者もいた。

     そして消費者は、配達時間の指定や24時間営業、元日からの開店を便利でありがたいと歓迎した。

     どちらも大切なことを忘れていたのかもしれない。サービスを生む「人」の存在だ。日本経済が順調に拡大を続け、人口減少が話題にならなかった時代だったからでもある。

     欧州では、日曜休日や深夜の営業は空港やターミナル駅などの店に限られている国がある。ドイツやフランス、スイスなどだ。

     規制緩和で日曜営業の百貨店も登場しているが、伝統的・宗教的に労働者を保護する考えが強い。体力と資金のある大型店の攻勢から中小の店を守る狙いもある。

     そうした考え方には学ぶ点が少なくない。それに彼らの方が日本人よりもよく休み、労働生産性は高いという事実もある。

     連休中、多くの人がさまざまな場面でサービスを受けているはずだ。手厚いサービスが、だれかの犠牲の上に成り立っていないか。その質の高さはこれからも持続可能なのか。改めて考える機会にしたい。

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