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米国抜きのTPP協議 なお戦略的な意味を持つ

 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に参加する日本政府は、米国抜きの発効を目指し、米国以外の11カ国での協議に入った。

     巨大市場の米国が離脱したままでは効果が乏しいとの意見も根強い。それでも、TPPを漂流させずにアジア太平洋地域に自由貿易圏を形成することは、トランプ米政権の保護主義政策をけん制する戦略的な意味を持つはずだ。

     日本は従来、米国抜きに慎重だった。だが、日米経済対話などを通じて、米国の早期翻意は困難と判断した。11カ国での発効を先行させ、将来的な米国の復帰を待つ考えだ。

     ただ、各国の思惑は複雑だ。

     オーストラリアやニュージーランドは日本などへの農産物輸出の増加を期待し、米国抜きに前向きだ。

     一方、ベトナムやマレーシアは慎重だ。繊維製品などの対米輸出拡大を見込んでいたためだ。

     また、ペルーやチリは、米国の代わりに中国の参加を望んでいる。

     各国の事情は異なるが、高水準の通商ルールというTPPの成果をまず具体化することが、それぞれの国益につながるのではないか。

     TPPは貿易や投資の自由化に加え、知的財産権の保護や電子商取引の促進など幅広い分野を網羅する。米国抜きというマイナス面を割り引いても、利点は多いはずだ。

     多国間交渉に背を向けたトランプ政権は、各国に2国間交渉を迫る構えだ。米国の経済力をバックに相手国の譲歩を引き出す狙いだ。

     米国抜きの自由貿易圏を構築すれば、米国の保護主義的な圧力に対する防波堤の役割も果たせるだろう。

     米国がTPP離脱で自由貿易の恩恵を得られず、自らに不利と分かれば、米国内で復帰を求める声が高まる可能性もある。米国を多国間の枠組みに引き戻すてこにしたい。

     11カ国は今月下旬にベトナムで閣僚会合を開く。経済規模が最大の日本は協議を主導し、意義が理解されるよう努めてほしい。並行して米国には粘り強く復帰を促すべきだ。

     米国抜きの協定を発効させる場合、日本政府は国内手続きとして国会承認を取り直す必要がある。承認を得た現在の協定から枠組みは大きく変わる。政府はTPPの将来像を国民に丁寧に説明してほしい。

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