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余録

排外的な愛国主義をいう「ショービニズム」は…

 排外的な愛国主義をいう「ショービニズム」は、19世紀前半にパリではやった軽喜劇から生まれたらしい。そこでは没落したナポレオンを熱烈に崇拝したショーバンという兵士がからかわれ役としてよく登場した▲彼はナポレオン戦争で負傷を重ねた歴戦の兵士というが、実在したかどうかは分からない。だがパリの観客の間ではショーバンは笑いの的となり、やがて愛国主義をふりかざす軍人らがショービニストと呼ばれるようになったという▲移民への福祉サービスに反発する排外感情が「福祉ショービニズム」などと呼ばれる今日の欧州である。戦後の欧州統合の歴史的な潮流も人々の心に潜む小さなショーバンによって逆転しかねない。そんな局面での仏大統領選だった▲その決選投票で欧州統合推進を訴えた中道系マクロン氏が、極右のルペン氏を大差で破った。勢力拡大を伝えられていた右派ポピュリズム政党はオーストリア、オランダの選挙に続いて敗北し、欧州分裂の危機はひとまず避けられた▲直ちに国民の分断の修復を訴えたマクロン氏だが、なにしろ若者の4分の1が失業中という仏経済の実態である。従来の2大政党の失墜や、極右の勢力拡大をもたらした人々の不満や不安のマグマはこれからも圧力を弱めそうにない▲その命運が経済の構造改革にかかるマクロン政権である。しかし草の根の暮らしと開かれた欧州の未来をつなぐ新たな構想なしには、その改革にも人々の心の中の小さなショーバンたちが立ちはだかろう。

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