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瑞風が走る

山陰の期待/6 仁風閣や民藝美術館 鳥取の歴史、文化発信 洋館・民芸、魅力伝える /島根

鳥取民藝美術館には、吉田璋也がデザインしたり収集した民芸品が並ぶ=鳥取市で、園部仁史撮影

 JR鳥取駅に立ち寄る「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」。乗客は市内で白亜の洋館「仁風閣」を見学するほか、「鳥取民芸の父」と呼ばれる吉田璋也が設計した「鳥取民藝(げい)美術館」と「旧吉田医院」にも冬季限定で訪れる予定だ。関係者は「鳥取の文化の魅力が伝わるよう、分かりやすい解説を心掛けたい」と張り切っている。

     仁風閣は、皇太子嘉仁親王(後の大正天皇)の山陰視察の際、滞在先として1907(明治40)年に完成した。今回は特別に居間に当たる「御座所」を開放する。本城義照所長(65)は「明治時代にタイムスリップしたような、『非日常の空間』を楽しんでほしい」と話す。

    瑞風の乗客が入室できる御座所を紹介する本城義照所長=鳥取市で、園部仁史撮影

     近くの鳥取西高校に通っていた本城さんにとって、仁風閣は身近な存在だ。会社員などを経て61歳で所長に。ただ、いざ運営する立場になると、観光名所として発信力が十分でないことに気がついた。同じ市内でも鳥取砂丘には年間100万人以上が訪れるのに、仁風閣は4万人程度。逆に言えば客足はまだまだ伸ばせる可能性があり、瑞風運行による注目度アップに期待する。

     所長就任後は展示品の解説を充実させたほか、建物や庭園の美しさを知ってもらうためにごみ一つ落ちていない施設にした。滞在時間が短い瑞風の乗客のために、仁風閣の洋風建築と、背後にある鳥取城の石垣が一緒に撮影できる撮影スポットなども紹介するつもりだ。

     今後は車椅子の人なども気軽に観覧できるよう、臨時のスロープを設置する予定。本城さんは「訪れる全ての人にとって居心地のいい場所を目指したい」と話す。

         ◇

     一方、旧吉田医院は医師・吉田璋也(1898~1972年)が、52年の鳥取大火で焼失した医院を自ら設計して再建したもので、公開される機会はわずか。2階建て4層の独特な造りで、吉田が手掛けた角の丸い机など、こだわりの品々が並ぶ。

     吉田は柳宗悦の影響を強く受け、民芸の美しさを普段の暮らしの中に取り入れようと尽力したことなどから「鳥取民芸の父」と呼ばれる。49年に開館した鳥取民藝美術館(当時の名称は鳥取民藝館)には吉田が制作・収集した約6000点があり、このうち150~200点が展示されている。外観は蔵のような造りだが、英国や中国風の作品も並ぶ。美術館の木谷清人常務(64)は「吉田璋也が受け入れた『民族の多様性』を感じられる」と語る。

     瑞風の乗客が滞在するのは、両施設と民芸品を扱う「たくみ工芸店」を合わせて50分程度。奥が深く複雑な鳥取民芸の歴史をいかに分かりやすく伝えるか。木谷常務らは、できるだけ簡潔な表現を使った冊子などを作成する予定だ。「鳥取の歴史に民芸は欠かせない。瑞風の乗客に知ってもらえるように頑張りたい」と意気込んでいる。【園部仁史】=つづく

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