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余録

「党争」という言葉を国語辞典で引くと…

 「党争」という言葉を国語辞典で引くと「党派の争い」とある。だが百科事典で引くと「朝鮮・李朝における党派の争い」(世界大百科事典)と歴史用語になっているのが分かる。それだけ激しい争いだったのだ▲王朝の官僚層は16世紀から党派対立をくり返し、血みどろの粛(しゅく)清(せい)もあった。党派は東西南北の4派に分かれ、さらに老論・少論の2派も生まれた。この権力闘争は儒教の教義や倫理をめぐる理論闘争のかたちをとったのが特徴という▲どんなに激しい党派の争いであれ国民の投票で決着がつく現代の韓国である。しかし保守と革新で繰り返される政権交代にあって、毎度のように前政権のスキャンダルがやり玉にあがってきたのには過去の党争を思わせるものがある▲前大統領を弾劾(だんがい)・罷免(ひめん)した韓国で、保守政権9年の弊害清算を掲げた革新系の文在寅(ムンジェイン)新大統領が誕生した。腐敗の温床とされた体制の改革、また前政権ができなかった雇用の改善や経済の再生への期待を集めての大統領選勝利だった▲日本ではその対北融和政策や対日強硬姿勢が注目されている。前政権の事績の道義的否定をアピールした公約だが、いざ外交の当事者となって渡り合うのは国際政治の現実だ。選択はおのずと地に足がついたものとならざるをえまい▲どうあれ施策の実現には野党の合意が欠かせない少数与党の政権である。道義をめぐる抗争より、国民生活の向上と東アジアの安定に向けた幅広い協力へ--脱「党争」に命運がかかる新大統領である。

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