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赤ちゃんポスト10年 命を守る活動を広げたい

 貧困や暴力などが絡んだ不慮の妊娠によって、望まれずに生まれる子供がいる。

     そうした子を守ろうと、熊本市の慈恵病院が「赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)」を始めて10年になる。親が育てられない子を匿名で受け入れる国内唯一の施設だ。

     預けられた赤ちゃんは昨年3月までに125人に上る。同病院は児童相談所と協力し実親の調査や、特別養子縁組につないで赤ちゃんが手厚く養育されるよう取り組んできた。

     赤ちゃんポストをめぐっては開設当初「安易な子育て放棄を助長する」との批判があった。当時、安倍晋三首相も「匿名で子供を置いていけるものを作るのには大変抵抗を感じる」などと否定的な発言をした。

     だが、最近は若者の貧困や家族の機能低下などを背景に「望まない妊娠」は増え、小中学生の出産も少なくない。同病院が受ける妊娠や出産に関する問い合わせも年間5000件を超える。ポストの必要性は感じられるようになってきた。

     厚生労働省によると、無理心中以外の虐待で亡くなった18歳未満の子供は2003~14年度で計626人に上る。このうち半数近くが0歳児で、実の母親が加害者である場合がほとんどだ。

     もともと日本は望まれずに生まれてきた子への対応が遅れてきた。妊娠中絶の件数が多いことも背景にある。ドイツをはじめ諸外国では赤ちゃんポストに類似した制度が古くから存在し、多くの命を救ってきたのとは対照的だ。

     最近になって厚労省は産科のある医療機関、貧困や家庭内暴力の被害者を支援するNPOなどに児童福祉司を配置し、「望まない妊娠」をした女性の支援に乗り出している。

     今年4月から施行された改正児童福祉法では、里親や特別養子縁組の支援を強化することになった。さらに、養子縁組をあっせんする民間団体への法規制を強化し、金銭目的の団体を排除するなどして質の向上に取り組んでいる。

     それでも網の目からこぼれるケースはあるだろう。赤ちゃんポストが受け止めてきたものの重さを認め、より幅広い支援体制を構築すべきだ。どんな事情があっても生まれてきた命は守られねばならない。

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