メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

社説

米大統領がFBI長官解任 強権で疑惑を隠すのか

 何とも乱暴で露骨な人事と言わざるを得ない。トランプ米大統領は、任期を6年も残す連邦捜査局(FBI)のコミー長官を突然解任した。

     大統領は司法省の「コミー氏はFBIを効率的に統率できない」という判断に従ったまでだと言うが、まるで説得力がない。

     FBIは昨年の大統領選におけるトランプ陣営とロシアの関係を調べていた。ロシアが行ったという民主党陣営へのサイバー攻撃に、共和党のトランプ陣営が何らかの形で関わったのではないか、との疑惑だ。

     FBIが捜査態勢の拡充を司法省に求めた数日後にコミー氏が解任されたとの報道もある。疑惑が一向に晴れない中で長官を解任すれば、大統領は捜査を妨害したいのか、という観測が広まるのは当然だ。

     そもそもトランプ氏はコミー氏を評価していたはずだ。大統領選の対立候補クリントン元国務長官の「私用メール問題」についてコミー氏は昨年7月、「訴追に相当せず」と発表したが、投票日直前の10月末に再捜査を宣言し、クリントン氏の敗北につながったとされるからだ。

     トランプ政権はコミー氏の7月の対応について「司法長官の権限侵害」としているが、10カ月も前の話を解任の理由とするようでは、ご都合主義の批判は免れまい。

     トランプ氏は大統領令を差し止めた裁判官も激しく批判した。大統領は司法に対して超越した存在であり、意に沿わぬ者は相応の理由がなくても排除できるという、危険で誤った思い込みがあるのではないか。

     都合の悪い報道は「フェイク(偽)ニュース」と決め付け、好意的な報道をするメディアを重用する姿勢にも同様の危うさを感じる。

     だが、権力と闘ってきた米国のジャーナリズムが、それでひるむとは思えない。1973年、ニクソン大統領はウォーターゲート事件の追及をかわそうと特別検察官を解任したが、結局は辞任に追い込まれた。強権を発動しても、真実を隠し通すことはできないという教訓だ。

     民主党は特別検察官による真相究明を求め、共和党内にも大統領を批判する声がある。メディアの追及も激しさを増すだろう。強権発動によってトランプ氏はむしろ自分を窮地に追い込んだように思える。

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 兵庫・葬儀会社 男児解剖遺体 頭部にコンビニ袋
    2. 大リーグ 大谷が肘靱帯損傷と米報道 注射治療、症状軽度
    3. 世界の雑記帳 死亡した英男児の棺が空と判明、遺体の扱いに疑念の母親が真実追及
    4. 特殊詐欺 だまされたふり作戦にお墨付き 最高裁初判断
    5. コトバ解説 「死体」と「遺体」の違い

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]