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社説 商工中金の不正融資 民間補完に徹する体制を

 政府系金融機関の商工中金で融資を水増しする不正が発覚した。政府は業務改善命令を出したが、型通りの対策に終わらせてはならない。民間融資の補完に徹するよう、体制を抜本的に見直すべきだ。

     不正があったのは、金融危機や震災で経営難に陥った中小企業向けの危機対応融資だ。2008年のリーマン・ショック後に国が創設した。

     商工中金の第三者委員会の調査で判明した不正は200億円近い。対象外の健全な企業の書類を改ざんし、業績を悪く見せかけて融資先に加えた。調査したのはまだ全体の1割強で不正は膨らみそうだ。

     まず問題なのは公的資金を活用した融資に対する無責任な姿勢だ。

     利子は国が補給し、返済が滞った場合の損失も国が穴埋めする。不正による焦げ付きは出ていないが、チェック体制があまりにずさんだ。

     社長は経済産業省、副社長の一人は財務省の天下りだ。国が後ろ盾にいるという甘えが、組織の緩みを招いたのではないか。

     政策金融の役割からも逸脱した。

     危機対応融資は中小企業の経営を低利で支える公的な安全網だ。

     ただ緊急事態を脱すれば支援が必要な企業は減る。その段階で商工中金は融資を縮小すべきだったが、逆に過大なノルマを現場に課した。

     利子補給を武器に民間金融機関に対抗しようともした。国の制度を悪用して民間を圧迫するものだ。

     第三者委によると、融資水増しの背景は、危機対応融資を自らの存在意義と位置づけたことだという。

     政府は05年、政策金融改革の一環として、商工中金の完全民営化方針を決めた。だが、その後、危機対応を理由に先送りした経緯がある。

     危機対応融資の拡大で存在感を誇示し、将来の完全民営化も逃れようとしたとみられても仕方がない。

     商工中金は政府の改善命令前に役員報酬の削減などを発表したが、その場しのぎだ。経営陣や組織を刷新し、民間補完の立場を明確にして信頼回復を図ることが急務だ。

     政府も政策金融の肥大化を防ぐ必要がある。そのうえで商工中金を早期に完全民営化する道筋を示すことが重要だ。危機対応融資は、ほかの政府系金融機関に集約することなどを検討すべきだ。

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