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余録

世界文化遺産の登録勧告を受けた…

 世界文化遺産の登録勧告を受けた福岡県宗像(むなかた)市の沖ノ島は「海の正倉院」と呼ばれる。イラン原産とみられるガラス碗(わん)の破片など多くの国際色豊かな遺物が出土しているからだ▲似たガラス碗は遠く離れた中国寧夏(ねいか)回族自治区の北周時代(6世紀)の墓からも見つかった。長安(現西安市)の北西約300キロ。西域と呼ばれた辺境地域、中央アジアへと向かうシルクロードの拠点だった場所だ▲貴重な中国産絹製品の輸送路だったシルクロードは同時に西方の文物を東方に伝える道だった。「敦煌(とんこう)」など西域を舞台に歴史小説を書いた井上靖は「歴史の通った道」と呼んでいる。沖ノ島や正倉院に西方の文物が伝えられたのもこの道があったためだろう▲長く忘れられていたシルクロードの存在を世界に広めたスウェーデンの地理学者、へディンは1930年代に著書でシルクロードを一本の道路で結ぼうと提唱した。2000年前には実現し、500年間も維持されていたと説いた▲今度は中国が道路にとどまらず、大規模なインフラ投資を進めようと巨大プロジェクトを提唱している。陸と海のシルクロード経済圏「一帯一路」構想だ。北京では各国首脳を集めた国際会議が始まった▲日本や欧米には中国の意図や実現性に懐疑的な見方が少なくない。しかし、周辺諸国に多くのインフラ需要があることも事実だ。日本はシルクロードの東方の終着点でもある。かつて文化をもたらしてくれた道の再構築につながるのなら、無視はできまい。

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