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余録

春遅い地にも若葉が…

 春遅い地にも若葉が萌(も)え立つ季節になった。木々の香りがすがすがしい。「萌」の字を使う野菜がある。「発芽させる」という意味の「萌やす」から名がついたという。モヤシだ。平安時代、薬草として栽培していた記録もある▲今は、緑豆などを発芽させ、工場で生産する。天候に関係なく、出荷まで10日程度だ。店頭で20~40円の手ごろさと、ビタミンやミネラルに富む栄養面がうれしい。そんな食卓の味方の将来が危うい▲もやし生産者協会は「もう限界だ」と訴えている。それによると、ここ10年で主に中国から輸入する原料の豆の価格が3倍に上がったうえ、人件費もじりじり上昇した。一方で小売価格は販売競争などで下落傾向にある。生産者の経営はかつかつの状況だという▲訴えから2カ月。「ありがたさの裏の窮状を知らなかった」といった世の中の声に後押しされ、スーパーなどとの交渉を続けている。協会の林正二理事長は「みなさん、大変さはわかってくれます」と前置きし、言葉を継いだ▲「すんなり値上げを受け入れてくれるかどうかは別ですが」。自分の店だけ上げたくない。時期をよそよりも遅らせたい。そんな思惑がからむ。「広告を出すより、モヤシを安売りした方が客を呼べる」と考える店もある▲目の前の安さに飛びつく消費者と、安さでひきつけようとする店。そうして2009年に230あった生産者は減り続け、100社以上が廃業した。安さの向こう側とその先にあるものに思いをめぐらせたい。

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