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耳で楽しむ映画続々 視覚障害者向け

音声ガイドが利用できる「UDCast」をダウンロードしたスマートフォン=日本ライトハウス情報文化センターで2017年5月18日、幾島健太郎撮影

配給大手4社が邦画作品で本格導入

 視覚障害者の映画鑑賞の機会を増やそうと「日本映画製作者連盟」(映連)加盟の映画配給大手4社が邦画作品で、人の動きや情景を説明する音声ガイド付き上映の本格導入を進めている。各社の年間の自社配給分の約3分の1から全作品が対象。障害者支援の法整備や専用アプリ開発が後押しした。開催中の仏カンヌ国際映画祭に出品された邦画「光」(河瀬直美監督)も音声ガイドを題材としており、バリアフリー上映への注目が集まりそうだ。

     映連では、障害者の生活に関わる障壁を取り除くため、昨年4月に施行された障害者差別解消法の趣旨に沿って対応を検討。映画の音声ガイドはFM送信機からラジオを通じて流す方式が主流で上映中の音量調整が必要など、負担が大きく普及が進まなかった。だが、劇場でスマートフォンなどからイヤホンを通じて音声ガイドを聞ける無料アプリ「UDCast」(ユーディーキャスト)が昨年登場。アプリとデータをダウンロードするだけで使え、FM方式より導入しやすい。東宝、松竹、東映、KADOKAWAの大手配給会社4社は昨年12月以降に公開される各社配給の邦画で音声ガイド付き上映を促進することにした。洋画は海外の製作元に許可を求める必要があるなど課題があり、邦画を対象とした。

     映連によると、国内公開の邦画作品は例年約600本。うち4社は約100本を配給、全邦画の興行収入の約8割を占める。東宝は今年配給予定の約30本の全作品が対象の予定。松竹、東映、KADOKAWAの3社は200館以上で上映の作品とし、3社計約50本の3分の1ほど。4社で計約50本が対象になりそう。東宝は「目の不自由な方にも映画を楽しんでほしい。利用促進に向け認知度を上げたい」。UDCast運営企業の「パラブラ」(東京都)によると、これまで音声ガイド付きの上映作品は年に数本。だが、アプリのおかげで今年1月~5月20日には26本で実現した。

     「光」は音声ガイド製作者の女性と、障害で視力を次第に失うカメラマンのラブストーリー。今月27日から音声ガイド付きで公開される。現地時間28日まで開催のカンヌ映画祭では最高賞を争うコンペティション部門に参加。河瀬監督は「前作の『あん』で初めて音声ガイドを付けることになったのが製作のきっかけ。目の見えない人の立場に立って試行錯誤しながら作られ、すばらしい表現方法だと思った」と語る。

     視覚障害者の映画鑑賞を支援する大阪市西区の社会福祉法人「日本ライトハウス情報文化センター」職員で、全盲の松本一寛さん(42)は「初めて音声ガイドを聞いた時、情景がはっきりと想像できて感動した。業界の動きや『光』を通じ、音声ガイドの理解や普及が進んでほしい」と期待する。NPO法人「メディア・アクセス・サポートセンター」(東京都)のまとめによると、米国では米国映画協会加盟社が2010年に公開した映画全作品140本が音声ガイド付き。英国では13年公開の国内映画202本中、84%にあたる170本で採用された。【村瀬優子】

    障害者差別解消法

     障害の有無に関わらない共生社会の実現を目指して2013年に成立、昨年4月に施行された。障害を理由に差別的取り扱いをしないことに加え、個々の障害の状態に応じ、過剰な負担にならない範囲で必要な措置を取る「合理的配慮」を行政や企業に求める。国は教育や医療、公共交通、サービスなど分野ごとにガイドラインを設けている。映画の視聴環境についても対象とされ、視覚障害者向けの音声ガイドや聴覚障害者向けの字幕の付与など、バリアフリー化の促進が課題となっている。

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