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余録

「人気は無論、社会的地位も最高」…

 「人気は無論、社会的地位も最高」。初めて大西洋単独無着陸飛行に成功したリンドバーグのことだ。1931年に夫妻で来日した際、ワシントンの日本大使館が公電で米国内の評価を伝え、特別な配慮を求めている▲27年5月21日、ニューヨークから33時間半をかけてパリに到着した25歳の青年は一夜で世界的英雄になった。偉業を機に航空産業への投資が加速し、旅客機の利用者も大幅に増えた▲多額の賞金も手にしたが、実は単独飛行は賞金の条件ではなく、ライバルたちは複数で挑んだ。リンドバーグは他人の制約を嫌った上、より多くの燃料を搭載することを優先したという▲90年後の現在、航空会社が重視するのはコスト削減だ。格安航空会社(LCC)も増え競争は激しい。約7時間半で結ばれるニューヨーク-パリ間の格安料金は4万~5万円。より多くの乗客を確保しようと、定員以上の予約を受け付けるオーバーブッキングも日常的だ▲予想以上に客が現れれば、誰かが乗り換えを迫られる。米ユナイテッド航空機では乗り換えを拒否した男性乗客が無理やり機内から引きずり出され、批判が殺到した。経費削減のためか、サービスの質の低下やこれに不満を持つ乗客のトラブルも後を絶たない▲リンドバーグは自著で誰もが空の旅を楽しめる時代を予測する一方、航空機がもたらす将来に不安や恐れも感じると書いている。卓見だが、孤独な飛行を好んだ英雄には、混み合う機内の小競り合いまでは想像できなかったろう。

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