メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

余録

「めいめいが革袋のなかに…

 「めいめいが革袋のなかに、ワインといっしょに食べようと乾いた1個のパン、玉ねぎ二つ、オリーブの実3粒もってやって来た」。民会、つまり市民総会に集まるアテネ市民を描く古代ギリシャ喜劇の一節だ▲まるでピクニックみたいだが、アテネの国政の最高意思決定機関である。野外の民会場は6000人が収容可能で、市民権のある成人男子ならば誰でも参加・発言でき、多数決によって論議を決した(橋場弦(はしばゆづる)著「民主主義の源流」)▲こちらの有権者総会は酒や食べ物の持ち込みは論外だろうが、それもこれから決めなければならない。町村議会を廃止して予算や条例を有権者総会で決めてはどうかという高知県大川村の検討が、全国の小規模町村で注目されている▲地方自治法94条によれば、町村は議会を置かず有権者総会を設けることができる。過疎化、高齢化で議員のなり手が減り、議会の存続が難しいのは大川村に限らない。小紙の調査では小規模町村の7割が同じような問題を抱えていた▲その結果、議員定数が10未満の154町村のうち4割超に議会廃止を「将来検討する可能性がある」という。しかしいざ現実問題として考えれば、高齢者や障害者が招集に応じるのは容易でなく、有権者総会の実現のハードルは高い▲近代民主主義の源流をなす古代の直接民主政治から一度「自治」を考え直すのも悪くはなかろう。そのうえで議会の存続のための現実的な条件を組み立て直すことができれば、それにこしたことはない。

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 福岡 大濠公園の池、元福岡銀頭取死亡 事故と事件で捜査
    2. 元徴用工訴訟 河野外相「原告は徴用された方ではない」
    3. 競売 ヒトラーの写真130万円落札 ユダヤ系少女と笑顔
    4. 国会 「通告ないと答えられない」 目立つ首相の消極姿勢
    5. さくらももこさん 声優ら参列し「ありがとうの会」

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです