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余録

国民の2人に1人が…

 国民の2人に1人が、がんになる時代になった。2007年にがん対策基本法が施行されてから、治療技術は進歩し、患者が働き続けられる職場環境の改善も進んできた▲同法の成立に大きな役割を果たしたのが、民主党(当時)の故山本孝史参院議員だ。「がんも自殺も、救える命がいっぱいあるのに次々と失われている。政治や行政の対応が遅れているからです」。06年5月22日の参院本会議での代表質問だ▲胸腺がんに侵されていることを告白しながら淡々と訴えると、議場は温かい拍手に包まれた。この演説がきっかけとなって、法律は全会一致で成立する。山本さんはその翌年、58歳で亡くなった▲5歳のときに兄を交通事故で失い、大学を卒業すると交通遺児育英会に就職した。1993年の衆院選で日本新党から出馬し、初当選した。薬害エイズや臓器移植、自殺対策など、衆参両院議員を亡くなる07年12月まで務める間に数々の社会問題に取り組んだ▲「兄のランドセル」という朗読劇が今月11日、東京・渋谷のNHKホールで上演される。国会に初登院した際、教科書が入ったまま大切に保管していた兄のランドセルを持って行った山本さんの生涯を描いた。原作と脚本は妻のゆきさんだ▲「命を守るのが政治家の仕事」と山本さんは国会で訴えた。政府は近く第3期がん対策推進基本計画を閣議決定する。がんは種類にもよるが早期治療で8割以上が治る病になった。「いのちの政治家」が残した灯は未来を照らし続ける。

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