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首相主導の議論開始 手法に疑問も

自民党が改憲を検討する4項目
自民党憲法改正推進本部の役員会メンバー

 6日に本格化した自民党の憲法改正案の策定論議は、その場にはいない安倍晋三首相が主導する形で始まった。党憲法改正推進本部の保岡興治本部長ら野党との協調を重視する「憲法族」が先頭に立っていた自民党の改憲論議だが、6日の推進本部の役員会には、首相の意向を重視するベテランや首相側近がずらりと並んだ。【小山由宇、小田中大】

 役員会では、憲法への自衛隊の明記、教育無償化、緊急事態条項創設、参院の「合区」解消を含む選挙制度の4項目が検討課題として示された。自衛隊明記と教育無償化は、首相が5月3日の改憲派の集会に寄せたメッセージで表明したものだ。推進本部の上川陽子事務局長は記者団に「首相の発言も重く受け止めるが、幅広い今までの議論の成果を踏まえた」と説明したものの、首相主導のテーマ設定なのは否めない。

 推進本部の役員会には、首相側近の下村博文幹事長代行や西村康稔総裁特別補佐のほか、安全保障法制や天皇陛下の退位を実現する特例法案で公明党との与党協議を担った高村正彦副総裁らが入り、憲法族の「お目付け役」となる形だ。一方で、首相の方針に異議を唱える石破茂元幹事長もメンバーに加えた。

 自衛隊明記に関し党執行部は「9条の2」創設を検討する。9条と同格の別条となる「9条の2」は「9条改正ではない」として、公明党の説得を図る。日本維新の会も賛意を示しており、民進党内の保守派を揺さぶりつつ国会発議を目指す。

 教育無償化は維新の取り込みが目的だ。維新は統治機構改革や教育無償化を改憲項目に掲げているためだ。ただ、数兆円の財源のめどがなく公明党は現時点では慎重だ。

 どのテーマも現段階では確実に「3分の2」を形成できる保証がない。民進党は自衛隊明記にも教育無償化にも慎重なため、「あぶはち取らず」に陥る可能性もある。

 党内手続きも課題だ。石破氏は役員会で、「国防軍」を9条に盛り込むなどした2012年の改憲草案を挙げて「ものすごく長い時間をかけた議論の末にできた。9条を議論するならベースにしなければならない」と強調。記者団には「今までの党の憲法の議論は全ての議員が参加できる形で行われた。一部で議論して『着地点、結論はこれです』というやり方は今までにない」と語り、首相の手法に疑問を呈した。

 憲法族にも警戒感がにじむ。緊急事態条項を与野党合意が可能な本命とみていたからだ。憲法族の一人は「首相は民進党を巻き込む路線から、公明、維新の枠組みにかじを切った。国民投票を乗り越えられるのか」と懸念を示した。

「合区」党内向け側面強く

 四つの検討項目には、参院の「合区」解消を含めた選挙制度が盛り込まれた。参院自民党に配慮したためだが、衆参で改憲発議に必要な3分の2を確保する見通しはなく、党内向けの側面が強い。

 推進本部の上川陽子事務局長は記者団に「参院では非常に重要なテーマだ」と説明した。「1票の格差」解消のため、「鳥取・島根」と「高知・徳島」の合区が昨年の参院選から導入された。4県の関係者は「地方の声が国政に届かない」などと一斉に主張。参院自民党は合区解消に向け「参院議員を都道府県代表にする」との改憲案を提唱する。

 ただ、都道府県代表とした場合、国会議員を「全国民の代表」と定めた憲法43条の改正が必要になる。このほか「衆参両院の憲法上の役割を大幅に見直す必要がある」(公明党幹部)との指摘もあり、改憲案の策定は難航必至だ。また、公明党は大選挙区制を主張し、民進党は合区を容認しており、各党は協議に応じなさそうだ。【小山由宇】

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