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いま、防災は

巨大地震に備える/3 地盤情報も加味、被害予想 全国を網羅、初動に生かす

熊本地震で倒壊した家屋(手前)。奥の隣接住宅は残った=熊本県益城町で2016年4月17日、深津誠撮影
埼玉県蓮田市で行った微動観測。道路に置いているのは観測機器=防災科学技術研究所提供

 大地震の発生時に重要な初動。初期の被害予想は、全国に点在する観測点の震度に頼ってきたが、全国を面的に網羅したきめ細かい地盤情報を加えて分析する技術開発が進んでいる。防災科学技術研究所(茨城県つくば市)が2年前から本腰を入れている「リアルタイム被害推定システム」だ。藤原広行レジリエント防災・減災研究推進センター長は「いずれは地震発生後10分程度で、自動的に被害を推定できるようになり、ウェブサイトで公表する予定だ」という。

     地盤の強弱は局所的な揺れの大きさに直接影響する。2016年4月、熊本地震に見舞われた熊本県益城(ましき)町では、互いに数百メートルしか離れておらず同じ震度7とされたのに、建物被害が大きく異なるケースがあった。

     このシステムは、全国約5000地点の震度計のデータと、全国を250メートル四方で区切った約600万区画の地盤データを基に運用する。各区画のデータは、木造住宅や鉄筋コンクリートのビルなど建物の種類別に何棟あるか、何人が住んでいるかのほか、仕事などの関係で日中と夜間の人口の違いなど社会的な状況も網羅している。それらの違いは被害の大きさに影響する。

     地震が起こると、各区画がどのくらい揺れるのか、その揺れによって何割の建物が被害を受けるのかなどを即座に計算。推定値が地図上に表示される仕組みだ。

     入力している地盤データは、台地なので比較的揺れにくい、かつて河道だったので揺れやすいなど、土地の現状や変遷から一般的に想像される情報だ。これを現実に近づけるため、同研究所などは16年度末までに、関東地方の1万1000地点以上で、工事や自動車の走行などにより日常的に発生する揺れ方を調べる「微動観測」を実施。既存の28万のボーリング調査データと合わせて、揺れに関する各区画の詳細な特徴を明らかにした。これを基に、首都直下など大被害が懸念される地震をシミュレーションすると、震度が1階級上がる場所もあり、特に地盤が弱い河川沿いにその傾向が強いという。

     同研究所は今年度中に、微動調査を基に関東地方の地盤データを改める。さらに、微動調査を静岡県や愛知県など南海トラフを震源とする巨大地震の被害が懸念される東海地方でも始め、結果をシステムに反映させる。藤原さんは「建物の耐震性に比べて地盤はあまり考慮されない。そこに詳しく踏み込むことが、被害を減らす上で重要だ」と指摘する。

     気象庁は以前、担当者の体感や建物の被害状況から震度を判定していた。しかし、1995年の阪神大震災で、神戸市を中心に甚大な被害が出た地域から情報が入らず、初動が遅れた。これを教訓に、96年に震度計で計測する方法が導入された。同研究所が取り組むシステムは、この次世代版と言える。熊本地震の試験運用では、罹災(りさい)証明を発行するため、被害が大きいと予想された場所を優先して調査するのに活用された。【飯田和樹】=つづく


    安全性と利便性 両立せず

     自宅を構える際、災害に備えて気をつけるべき点は何か。名古屋大減災連携研究センター長の福和伸夫教授(地震防災)は、「まずリスクが低い地域を選ぶことが重要。安全性と利便性は両立しないと理解して考えるべきだ」と指摘する。

     例えば、木造住宅の密集地は火災の危険性が高い。自宅と職場が遠いと帰宅が困難になりやすいし、人口過密な大都市は物資不足になる心配も大きい。

     地震に対し、一般的に標高の低い場所や水辺、埋め立て地などは地盤が軟らかく、揺れが大きくなりやすい。丘陵地では土砂崩れなどに注意が必要だ。自宅の建設・購入時に、一戸建てなら地盤の固さなど、高層マンションならそれ特有の揺れ方について、業者に相談することが大切だ。

     福和さんは「揺れに強いのは壁が多く低い建物。最優先は強度で、次が使い勝手。見栄えは最後だ。既に持っている人は、耐震補強や家具の固定などに取り組んでほしい」と呼びかけている。【金森崇之】

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