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私の出発点

川上弘美さん『神様』 日本文学を変えた「波」

「今日はほんとうに楽しかったです。遠くへ旅行して帰ってきたような気持ちです。熊の神様のお恵みがあなたの上にも降り注ぎますように。それから干し魚はあまりもちませんから、今夜のうちに召し上がるほうがいいと思います」(『神様』中公文庫より)

 波を起こし続けてきた。おっとりした波だが、日本文学が漂う浜辺の形をはっきりと変えた作家だ。そのデビュー作が、おとぎ話のような『神様』である。1993年に書き、翌年の第1回パスカル短篇(たんぺん)文学新人賞を受賞した。当時、36歳の専業主婦だった。大学時代から小説を志していたが「初めて、書けた!と思ったのが『神様』です」。

 お茶の水女子大理学部で生物学を学び、中高一貫の女子校で理科教師を4年務め、退職して結婚と出産をした…

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