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<アクセス>3人がジャニーズ離脱 ファンが励ましの#大喜利
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昨年末に解散した「SMAP」を巡り、ジャニーズ事務所は元メンバーの稲垣吾郎さん(43)、草なぎ剛さん(42)、香取慎吾さん(40)との契約を9月に終了すると発表した。元リーダーの中居正広さん(44)は、木村拓哉さん(44)とともに残留するとみられる。「SMAPロス」を抱えるファンたちは、これをどう受け止めているのか。【小国綾子、大村健一】
契約終了発表時、ジャニー喜多川社長はSMAPにかけて「(S)すばらしい(M)MEMORIES(A)ありがとう(P)POWER」とメッセージを出した。だが、ファンは「社長の思いが本物ならなぜ5人を守れなかったの?」「MEMORIESだなんてSMAPを過去にしないで」などと反応。ツイッター上でハッシュタグ「#ジャニーさんに対抗SMAP大喜利」が生まれ、「(S)さあ手を繋(つな)ごう(M)もう1人じゃない(A)あきらめない明日へ(P)ピンチはチャンス」などと次々に投稿されている。
“大喜利”は誰かを批判するというよりユーモアに満ち、連帯感を強め、励まし合う。
約37万人の署名を集め、グループ存続を事務所に求めたファン団体「5☆SMILE」で代表を務めた兵庫県尼崎市の主婦、田辺明恵さん(48)は「残留にせよ、独立にせよ(メンバーは)決心するまでしんどい時間を過ごしたと想像し、胸が締めつけられた。どちらにせよ今まで以上に応援していこうという熱い思いは変わりません」と話す。
世の中を最も驚かせたのは中居さんの「残留」だろう。解散騒動で「裏切り者」と批判された木村さんに比べ、中居さんへの風当たりはそう強くないように見える。スポーツ紙やテレビのワイドショー番組でも「冠番組を持ち、スタッフらへの迷惑を避けた」「再結成の道を残すため」「『僕らを気にするな』と3人が残るようむしろ勧めた」など感動的臆測が飛び交う。20年来のファンという女性(29)は「中居さんの残留のお陰で冠番組に3人をゲストで呼ぶ道が残された。中居さんのファンへの恩返し」と熱く語る。
ファン心理に詳しい聖心女子大の小城英子准教授(社会心理学)は「残留の真相は分からない」と前置きしつつ、好意的な解釈が目立つのはファンの喪失感の深さゆえ、と見る。「SMAPは個がつぶされることなく集団でもパフォーマンスできるように見える点で、ファンがそこに人間関係や組織の理想像を見いだしやすいグループアイドルでした。だからこそ『仲たがい』や『裏切り』という解釈をしたくない。事務所など他に悪者を探したり、残留を好意的に解釈しようとしたりするのは、それだけファンの思いが深いがゆえなのでしょう」
取材で一番耳にした声は「誰も裏切り者と責めないで」「3人の将来はしばらくそっとしておいてあげて」だった。今も続くSMAPロスの中でもなお、メンバーをひたすら気遣うのがファンの思いなのである。