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余録

11歳でオペラを作曲したモーツァルトだが…

 11歳でオペラを作曲したモーツァルトだが、14歳の時はバチカンのシスティーナ礼拝堂で採譜を禁じられたミゼレーレと呼ばれる複雑な多声音楽(たせいおんがく)を1度聞いただけで譜面にした。その天才を伝えるエピソードだ▲将棋の加藤一二三(かとうひふみ)九段が「神武以来の天才」と呼ばれたのは14歳7カ月でプロ棋士となり、18歳でA級に上りつめた実績からである。すでに小学6年の時、対局を見た後の名人・升田幸三(ますだこうぞう)が「この子、凡(ぼん)ならず」と評した逸話もある▲昨年10月この史上最年少プロ棋士の記録を14歳2カ月に書き換えた中学生、藤井聡太(ふじいそうた)四段だった。その初対局の相手が今や現役最年長棋士となっていた加藤九段で、藤井四段には62歳という最大年齢差対局を制しての初勝利となった▲「天才」という手あかのついた言葉も、若き担い手を得れば一挙に輝きを取り戻す。以後、藤井四段が突き進んだ不敗の一本道である。そして「天才」の先達・加藤九段が現役引退した翌日、ついに過去最多に並ぶ28連勝を達成した▲こちらも小学6年からプロも出る詰め将棋の選手権で3連覇してきた実績がある。プロの見るところ「手を読むのではあれほど速く解けない。詰みの形が瞬時にひらめくのだろう」(北浜健介(きたはまけんすけ)八段)。まさに天から授かった才である▲「思ってもみない幸運です」。落ち着いた物腰で語られた30年ぶりの28連勝だった。将棋の宇宙は今の中学生をあのように鍛えるのだろうか。その目はすでに当面の連勝のかなたの高みを見つめていよう。

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