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大崎事件

再審開始を決定 鹿児島地裁、38年前の殺人

大崎事件第3次再審請求審で再審開始が決定し、「再審開始決定」などと書かれた垂れ幕を掲げる弁護士=鹿児島市の鹿児島地裁で2017年6月28日午後1時30分、矢頭智剛撮影

 鹿児島県大崎町で1979年に男性(当時42歳)の遺体が見つかった「大崎事件」で、鹿児島地裁(冨田敦史裁判長)は28日、殺人罪などで懲役10年が確定し服役した原口アヤ子さん(90)の請求を認め、再審を開始する決定をした。原口さんは捜査段階から一貫して無罪を訴え、今回が3回目の再審請求だった。地裁は共犯とされたアヤ子さんの元夫(故人)についても再審開始を認めた。鹿児島地検は福岡高裁に即時抗告するかどうか検討する。

 事件は物証に乏しく、原口さんは一緒に逮捕された元夫ら親族3人(いずれも故人)が「原口さんに殺害を持ちかけられた」とした自白や、親族から犯行を打ち明けられたとする義妹の供述などを根拠に有罪とされた。最高裁まで争ったが、81年に懲役10年の判決が確定。第1次再審請求では鹿児島地裁が2002年3月、親族の自白の信用性に疑問があるなどとして再審開始を決定したが、福岡高裁宮崎支部が取り消した。

 第3次再審請求審の主な争点は、親族3人の自白を裏付けるとされた義妹の供述の信用性だった。第2次再審請求を棄却した福岡高裁宮崎支部決定(14年7月)が「親族の自白自体の信用性は高くないが、義妹の供述と整合すれば信用できる」としたため、弁護側は義妹の供述について「不自然な変遷があり、体験や記憶に基づかない可能性が高い」とする心理鑑定書を新証拠として提出。「義妹の供述の証明力は著しく減殺された」と主張した。

 さらに、被害男性の遺体の解剖写真を分析し、確定判決が「首を絞められたことによる窒息死」とした被害男性の死因を否定する新たな法医学鑑定書を提出。「窒息死の所見である死斑などが認められない」とし、体の右側に広範囲の皮下出血があると推定されることなどから自転車事故による出血性ショック死の可能性を示唆した。その上で「殺害行為に関する親族の自白と矛盾している」と指摘した。

 また、第3次再審請求審で検察側が新たに開示したネガフィルムを基にした現場写真などを新証拠として提出。「近隣住民の供述と現場の再現写真に矛盾がある」などと主張した。

 その上で「親族3人の自白も義妹の供述も遺体の客観的状況と符合せず信用できない。確定判決には合理的な疑いが生じていることは明らかだ」としていた。

 一方、弁護団によると、検察側は法医学鑑定書について「写真鑑定の信用性は低い」と主張。心理鑑定書については「親族の証言はこれまでに検討済み」などと反論し、請求棄却を求めていた。【田中韻】

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