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ピノがCMをやめた理由

ピノバニラ

 森永乳業のロングセラー商品でひと口アイスの「ピノ」が2015年からテレビCMをとりやめている。若者世代の“ピノ離れ”が進み、一時的に売り上げが減少したのがきっかけという。同社の冷菓事業部の馬渕景士さんにCMをやめた経緯と理由を聞いた。【岡部恵里】

ピノ離れ

若者に好評のクッキーの上にマシュマロクリーム、ピノなどをのせた「ピノフォンデュ」=東京都渋谷区の「東急プラザ表参道原宿」で2017年7月5日、岡部恵里撮影

 ピノは国内初のひと口サイズのアイスとして1976年発売され、以来、順調にほぼ右肩上がりで販売数を伸ばしてきた。しかし13年ごろから販売数が一時的に伸び悩んだという。13年度の売り上げは11年度比約5%減で、数字としては大きく下がってはいないものの、安定して販売数を伸ばしてきた同社にとっては痛手となった。

 そこで同社は、普段ピノをどのくらい食べているのか年代別に調査した。すると、10代後半から20代前半にかけての若者世代のピノの喫食頻度が低いことが分かったという。

ロングセラーゆえの新鮮味のなさ

 馬渕さんは「おそらくこの年代は、アルバイトをして初めて自分で使えるお金を得るとき。近年はコンビニスイーツなど、アイス以外の新しいデザートが数多く販売されている。またスマホゲームのコンテンツにお金を使うなど、食品以外にも目が向きやすい。ピノ以外に目移りしてしまう世代なのかな」と分析。「問題は、ロングセラー商品のゆえ、ピノに新鮮味がないことだと思いました」と課題を強調する。

 そこで馬渕さんは、どうやったら若者世代にピノを思い出してもらえるのかと考え、ある一つのプロモーションを企画した。それが「ピノフォンデュカフェ」だった。

来場者数は12万人を突破

 ピノフォンデュカフェとは、ピノに抹茶のチョコレートソースやマシュマロクリームなどを自分で自由につけて楽しむことができる体験型のカフェだ。15年から期間限定で始め、来場者の大半は、ピノ離れしていた若者世代だ。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などで話題を集め、15年、16年の累計来場者数は12万人を突破。今年も期間限定で、東京と大阪でオープンする。

 馬渕さんは「ピノは、バニラアイスとチョコレートのシンプルな組み合わせ。トッピングなどをつけてもらうことで、新しいピノを見せることができます」とその効果に手応えを感じており、「彼らはテレビCMを見ない世代と聞く。一方で、リアルな人とのコミュニケーションを重視する一面もある。SNSを通じてピノフォンデュカフェを知る、という時代の流れにマッチしたのかな」とも語る。

 同社はピノフォンデュカフェを始めてから、ピノのテレビCMを打つのをやめた。「テレビCMより、ピノフォンデュカフェの方が宣伝効果が高い」と考えているからだ。ピノの販売数も持ち直し、16年度は13年度比約20%増に伸びており、過去最高の売り上げを記録した。

 馬渕さんは「ピノフォンデュカフェは、若者とピノの接点のようなものと位置付けている。今後も、より多くの人に、ピノの“1粒の幸せ”を感じていただけるように、地道にプロモーションを行っていきたい」と話している。

7日オープン

 今年のピノフォンデュカフェは7日から、商業施設「東急プラザ表参道原宿」(東京都渋谷区)3階に8月30日までの期間限定でオープンする。大阪市北区のブリーゼブリーゼでも、13日から9月10日までの期間限定でオープンする。

 今年のテーマは「#ピノジェニック」。ピノをピックで刺して味わうだけでなく、タルトやビスケットの上に乗せて小さなピノのケーキをつくる楽しみ方も提供するなど、写真に撮って記録に残したくなるようなピノ体験ができるという。

 馬渕さんは「自分なりのオリジナルのピノを作って、楽しんで、おいしさも味わってもらえたら」と話している。

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