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アリで死ぬ、ハチで死ぬ可能性=粥川準二(科学ライター)

 毒針を持つ外来生物「ヒアリ」が各地で見つかっている。

     マスコミもネットメディアも「米国では毎年100人以上がヒアリに刺されて死亡」と警告する。しかし、いくら調べてもこの情報の根拠が見つからない、と週刊誌『アエラ』に書いた。ある昆虫学者がこの記事を読んで、筆者が調べられなかった資料も調べたところ、やはり根拠が見つからない、と連絡してくれた。

     同誌では書ききれなかったことだが、ヒアリが定着していない日本では、毎年10~30人がハチに刺されて死んでいる。一方、ムカデやヤスデで死ぬ人は0~数人、アリなども0~数人だ。もしヒアリが定着したら、この数字はどれだけ上がるのか。

     ヒアリが定着している米国の労働統計局のまとめによると、2003年から10年にかけての8年間で「昆虫にかかわる致命的な労働災害」は83件。その多くはミツバチやスズメバチによるもので、アリによるものは4件のみ。もちろん労働現場以外での死亡例はカウントされていない。だが傾向は推測できる。

     ヒアリ以外も含むアリで死ぬ可能性は、ミツバチも含むハチで死ぬ可能性よりもかなり低いようだ。

     もちろんヒアリの侵入には生態系や農業への悪影響も指摘されているので、警戒しないでいいわけではない。しかし不確かな根拠による警告は、問題の理解を妨げる。

     ただ少ないながらも、筆者と同じ疑問を抱いた専門家もいるようだ。近いうちに報道の傾向も変わるだろう。科学や報道の「自己修正機能」を信じたい。


     林英一、金原ひとみ、長有紀枝、吉崎達彦、粥川準二の各氏が交代で執筆、毎週火曜日に掲載します。

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