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余録

「もうグズグズしているひまのない事態」…

 「もうグズグズしているひまのない事態」「これからも無数の困難なカベに突き当たる」。切迫感が伝わるのは1964年東京五輪の3年前の本紙社説だ。終了後には国民の大半が評価し、成功体験として語り継がれた五輪だが、開幕が近づくまでは関心も高まらず、問題が山積していた▲時代背景に違いがあるとはいえ、2020年東京五輪の準備は前回よりは早めに進んでいる。開会式までちょうど3年となるきょう、渋滞の解消を狙って職場以外での勤務を促す「テレワークの日」が実施される▲12年のロンドン五輪でインターネット利用の在宅勤務などを認めるテレワークが奨励されたことに倣った。五輪を契機に欧米に比べて普及が進まないテレワークを広げ、働き方改革に結びつけようという思惑もある▲64年五輪では新幹線など公共インフラが充実したが、社会生活への影響も少なくなかった。選手村食堂の料理長を務めた帝国ホテルの村上信夫氏は五輪を機に冷凍食品がホテル業界に広まったと回顧している(私の履歴書・日本経済新聞)▲全国から集まったコックの調理手順を統一するため、マニュアルも導入したというから、職人気質が強かった料理人の意識を変えることにもつながったろう▲20年五輪も日本社会の好ましい変化につながればありがたい。しかし、建設、運輸などの業界では五輪需要でいっそうの人手不足も予想されている。3年後、「開催で労働慣行が変わった」と総括するのはそう簡単ではなさそうだ。

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