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社説

脱ガソリン車に動く欧州 日本の対応遅れが心配だ

 英国政府が、ガソリン車やディーゼル車など化石燃料を使う自動車の販売を2040年までに禁止すると発表した。深刻化する大気汚染対策の一環だ。すでにフランスが同じ方針を打ち出し、ドイツやオランダでも同様の動きがある。

     モーターで走る電気自動車への移行が、欧州を皮切りに世界で加速するだろう。自動車業界にとどまらず製造業やエネルギー産業を揺るがす大変革の始まりでもある。

     トヨタ自動車など日本の主要メーカーは、エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド車で先行した。次の段階として、水素を燃やして走る燃料電池車の普及を狙うが、電気自動車では欧米のほか中国など新興国にも立ち遅れている。

     スウェーデンのボルボは、19年から新型車種すべてを電気自動車化し、独ダイムラーや独フォルクスワーゲンも今後数年の間に10~30車種を売り出す。米テスラ・モーターズや中国のBYDなどの新規参入企業はすでに量産体制を築いた。

     一方、トヨタが量産化に向けた本格的な組織を作ったのは昨年末である。そこには電気自動車に傾斜できない事情もあった。

     従来の自動車は、燃料をエンジンに噴射して爆発させ、その力を変速機を通じて車輪に伝え、排ガスはきれいにする。一連の複雑な動きを支える部品の数は2万を超える。

     だが、簡素な仕組みの電気自動車なら1000に満たない。電池とモーター、それらを制御する電子装置があればいいからだ。

     事業構造は大きく異なり、部品を扱う関連産業の裾野の広さと抱える雇用の厚みに相当の差がある。従来型で優位に立つ日本メーカーには失うものが多すぎ、大胆な方向転換は難しかったわけだ。

     今後、電気自動車が主流になれば、関連産業や雇用への打撃は避けられない。化石燃料の消費量や価格、電力需要にも影響を与えるだろう。

     産業界だけの問題ではない。

     日本政府も英国などと同じ方向に進むのか。大がかりな設備が必要な燃料電池車に力を入れ、「水素社会」を国策に掲げ続けるのか。

     日本経済と国民生活を左右しかねない構造変化が待つだけに、影響を見極めているような時間はない。

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