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日韓慰安婦合意の「検証」 安易な蒸し返しでは困る

 韓国政府が慰安婦問題に関する一昨年の日韓合意の検証を始めた。

     文在寅(ムンジェイン)大統領は選挙中に「再交渉」を公約にしていた。就任後は口にしなくなったが、合意に対する態度はあいまいだ。

     そうした中での検証には否定的な印象がつきまとう。

     合意のどこを検証の対象とし、誰から話を聞くのか。韓国政府は詳細を明らかにしていないが、方向性としては二つ考えられるだろう。

     一つは、合意をまとめた朴槿恵(パククネ)前政権による国民への説明不足を補足しようとするものだ。それなりに適切な合意だったという結論ならば、日韓関係への影響はそれほど大きくない。

     もう一つは、合意に至るプロセスを蒸し返し、あら探しをしようとすることだ。そんなことをすれば、合意の信頼性を傷つけてしまう。

     一昨年の合意は両国が歩み寄って結ばれた。一人でも多くの元慰安婦が存命のうちに心の傷を癒やすことが目的だった。その精神は尊重されねばならない。

     合意に基づく事業を行う拠点として「和解・癒やし財団」が1年前に発足した。その時に理事長は、名称について「(元慰安婦の)おばあさんたちと歴史の和解であり、(財団に)反対する人たちとの和解でもある」と語っていた。

     生存者の7割は財団の事業を受け入れたが、韓国の一部運動団体やメディアはそれを無視している。財団運営資金は昨年末の国会審議で政府予算から全額削除され、理事長は先月末、退任に追い込まれた。財団は正当な評価を受けられないまま、漂流しつつある。

     文氏は、対日政策で歴史問題と安全保障協力を切り離すと語る。だが慰安婦問題で感情的対立が再燃すれば、対北朝鮮政策の連携でも困難に直面することは目に見えている。

     慰安婦問題を巡っては、安倍晋三政権が「河野談話」の検証をしたことがある。談話見直しを持論としてきた首相による検証は、「政権として継承する」と語った姿勢への疑念を生む無益なものだった。

     外交は互いに譲り合わねば成り立たない。文政権には、検証を冷静に進めて内外を納得させる結果につなげることが求められている。

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