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余録

落語にも出てくる厄払いの文句で…

 落語にも出てくる厄払(やくばら)いの文句である。「鶴は千年、亀は万年、東方朔(とうぼうさく)は八千年、浦島太郎(うらしまたろう)は三千年、三浦(みうら)の大介(おおすけ)百六つ……」。めでたい長寿を並べたて、厄を海へと流すという▲かつては節分などにこう唱えながら家々を回る人がいた。身にたまった厄難を免れるため、さまざまなまじないをした昔である。小さな不幸を演じて厄を払ったことにしようと、わざと落とし物や振る舞いの散財をすることもあった▲西鶴(さいかく)の「日本永代蔵(にっぽんえいたいぐら)」には某大名家の厄落としの金、なんと430両を拾って金持ちになった人の話がある(池田弥三郎(いけだ・やさぶろう)著「日本故事物語」)。さて、このところ凶事が相次いだ安倍(あべ)政権には厄落としの期待がかかった内閣改造だった▲政権と距離をとってきた野田聖子(のだ・せいこ)氏が総務相、防衛省に日報の再調査を求めた河野太郎(こうの・たろう)氏が外相という人事が注目された新内閣である。側近の重用が取りざたされる首相だが、一転して批判を取り込む姿勢をアピールする布陣である▲これが厄落としの振る舞いならば、大名の落とした大金を拾った気分なのが党政調会長になった岸田文雄(きしだ・ふみお)氏かもしれない。自派の閣僚を倍増させ、自らも希望した党三役に就いて「ポスト安倍」の足場を固めたかたちになったからだ▲気になる厄落としの効果のほどだが、政権の「骨格」には加計問題の火を消しそこねた官房長官や国有地格安売却を思い出させる財務相がとどまっている。何より首相その人にたまった厄がなお波乱を予感させる改造内閣の船出である。

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