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社説

岐路の安倍政権 政と官 お追従をはびこらせるな

 改造内閣が直視すべき課題に、ゆがんだ「政と官」の関係の見直しがある。首相官邸の官僚に対する行き過ぎた統制や、それに伴う官僚の変質が安倍内閣の迷走に影響しているとみられている。

     中央官庁の官僚が安倍晋三首相ら官邸の意向をおもんばかり迎合するように政策を調整し、情報開示を拒む。その風潮は「そんたく」という言葉に象徴されている。

     首相の友人が理事長を務める加計学園の獣医学部新設問題もそうだ。内閣府の官僚が「総理のご意向」をかざして文部科学省に認可を迫る内部文書が判明した。菅義偉官房長官はそれを「怪文書」扱いし、文科省も最初は存在を認めなかった。

     森友学園の小学校建設問題では籠池泰典前理事長が首相夫人の昭恵氏との親密さをアピールしていた。国有地売却で8億円の値引きに国はなぜ応じたのか。財務省はいまだに実態解明に協力していない。

     政と官の変質は2014年5月、内閣人事局の発足が転機となった。官庁の幹部人事を一元管理することで、省益優先やタテ割りの打破を目指すとのふれこみだった。

     ところが、安倍政権の一連の幹部人事には、自らの意に沿う官僚を選別して重用したり、気に入らない官僚を排除したりする手段に制度を利用した疑念がつきまとう。

     人事による冷遇をおそれた官僚たちは意見を言わなくなり、首相や官房長官へのお追従(ついしょう)が幅をきかせるようになってきた。

     民主的に選ばれた政治家が大きな方針を示す政治主導は当然だ。しかし、政と官は単なる上下関係ではなく、協業関係にある。官僚が政権に迎合し、緊張関係を失うようでは組織は劣化してしまう。

     改造人事では加計問題への関与が文書で指摘された萩生田光一前官房副長官に代えて、事務トップの杉田和博副長官を人事局長にあてた。とはいえ官僚を実質統括する菅氏は留任しており、基本は変わらない。

     いったんはびこった風潮を改めていくためには、適正な公文書の管理や情報公開が欠かせない。

     何よりも、官僚は国民全体の奉仕者であり、政権の奉仕者でないことを首相や菅氏は認識すべきだ。それが権力者のたしなみである。

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