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天皇陛下おことば1年

国民の共感後押し 退位早期決定も

2016年8月8日に公表された天皇陛下のビデオメッセージ=宮内庁提供

 天皇陛下が昨年8月に退位の意向がにじむおことばをビデオメッセージで公表されてから8日で1年を迎えた。6月には退位を実現する特例法が成立。今後、皇位継承の儀式の準備や、皇室を補佐する部署の改編が本格化する見通しだ。こうした作業には時間のかかる事柄もあり、退位の日の決定が当初の見込みより前倒しされる可能性も出ている。【高島博之、山田奈緒】

 「次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」

 2016年8月8日、陛下は退位の意向をにじませるおことばを公表した。宮内庁幹部は振り返る。「陛下のお気持ちへの国民の共感が、ここまでの動きを後押しした」

 特例法は退位の日を「公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める」と規定する。政府内では、18年末に陛下の退位と皇太子さまの即位を行い、19年1月1日に改元する日程が有力。宮内庁からは、皇室行事が集中する年末年始を避ける方が望ましいとの意見も出ており、19年3月末に退位、4月1日に改元とする案も出ている。

 退位の日は18年夏ごろに決まるとみられてきたが、前倒しの可能性も出ており、早ければ今年9月に決めることも検討されている。

 皇位継承に伴い、新しい皇室を支える宮内庁の体制づくりが必要となる。陛下は退位すると「上皇」に、皇后さまは「上皇后」になる。宮内庁は上皇、上皇后の活動を支える補佐機関として「上皇職」を新設する。皇位継承順位1位の「皇嗣」として皇太子さまの活動の多くを引き継がれる秋篠宮さまには「皇嗣職」を新設する。いずれも設置は退位の翌日とされており、「退位の日が決まっている方が、職員の増員などを含めた計画を立てやすい」と宮内庁幹部は言う。

 また、新天皇の即位に伴う儀式は皇室の伝統にのっとり行われるため、装束などの手配には時間がかかる。儀式には外国から多数の賓客が訪れることが想定され、あらかじめ他の行事との調整や予算編成を含めた省庁間の連携も必要となる。

 陛下は退位まで公務を務めるが、気候などの条件が厳しい公務の一部は皇太子さまが代行することも考えられる。宮内庁幹部は「陛下がお元気に象徴としての務めを全うされ、円滑に皇位を継承されるためにも、退位の日が早く決まることが望ましい」と話している。

おことば要旨

 天皇陛下が2016年8月8日に公表されたおことばの要旨は次の通り。

 社会の高齢化が進む中、天皇も高齢となった場合、どのような在り方が望ましいか、立場上、皇室制度に具体的に触れることは控えながら、私が個人として考えて来たことを話したいと思います。

 私は国事行為を行うと共に、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました。

 次第に進む身体の衰えを考慮する時、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています。

 天皇の務めとして、国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが、事にあたっては、人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。

 天皇の高齢化に伴う対処の仕方が、国事行為や、その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには、無理があろうと思われます。摂政を置くことも考えられます。しかし、この場合も、十分に求められる務めを果たせぬまま、天皇であり続けることに変わりはありません。

 天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。

 皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、私の気持ちをお話しいたしました。

 国民の理解を得られることを、切に願っています。

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