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社説

組織犯罪防止条約への加盟 共謀罪の懸念は依然残る

 政府が先月締結した国際組織犯罪防止条約への日本の加盟手続きが終了し、きのう発効した。

     条約の発効によって、国際的な組織犯罪を防止するために、締結国の警察同士で、捜査共助を進めることができるようになる。

     政府はこれまで、米国や中国、欧州連合(EU)などと個別に捜査共助の条約を結んできた。こうした連携が、今後は世界180カ国を超える国との間で可能となる。逃亡犯罪人の引き渡しもできる。

     薬物の密輸入やサイバー犯罪など、国境の壁を超える事件が増えている。国際協力を円滑に進め、組織犯罪を封じ込めるべきだ。

     ただし、条約に加盟したからといって、先の国会で成立した改正組織犯罪処罰法(共謀罪法)の問題点が解消されるわけではない。

     政府は、法を成立させるために、参院での委員会採決を省略するという方法までとった。

     差し迫った脅威であるテロ対策のためには、国際組織犯罪防止条約を締結する必要性があり、条約締結のためには、共謀罪法が必要という理屈だった。

     確かに条約は、重大な犯罪の実行を合意段階などで処罰できるよう、各国に国内法の整備を求めている。

     だが、この条約は、2001年の米同時多発テロ事件の前年に国連で採択された。テロではなく組織的な経済犯罪が主要なターゲットだ。

     一方、共謀罪法は、277もの犯罪を対象とする。著作権法違反のように国民生活に身近な犯罪も多く含まれている。また、組織的な犯罪集団が行うには現実性に乏しい犯罪も見られる。

     条約が求める国内法の整備と、実際に行われた法改正の落差はあまりにも大きいと言わざるを得ない。

     準備段階の犯罪を摘発する共謀罪法は、捜査の前倒しを前提とする。その先にあるのは、国民への監視強化だ。警察など捜査機関が権限を乱用してきた過去の事例を見れば、懸念は当然だろう。

     法成立後、警察庁は、都道府県警察本部の指揮の下で捜査を進めるように各警察本部に指示した。適切な捜査が行われるのか今後も見続けなければならない。法の慎重な運用を重ねて求める。

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