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社説

岐路の安倍政権 対中国政策 「時の利」「人の利」を生かせ

 冷戦後の国際秩序を支えた米国の指導力が低下する一方、軍事力と経済力を背景に台頭する中国が影響力を強めている。

     2012年末の就任から安倍晋三首相の海外出張は歴代最多の55回を数える。同盟強化を図る米国への訪問は10回に上る。

     しかし、中国を訪れたのは国際会議の2回だけだ。沖縄・尖閣諸島国有化を機に関係が冷え込んだ。過去5回の首脳会談には笑顔もない。

     対北朝鮮政策で中国と協調した対応を取れずにいたのも、日中関係悪化が影を落としている。

     安倍外交のウイークポイントである対中政策をどう立て直すかが、最大の外交課題である。

     日中は今秋に国交正常化45年、来年には平和友好条約締結40年を迎える。5年前の節目は尖閣国有化をめぐる対立で祝賀行事が中止された。

     日中ともに今回は成功させたいという思いを共有している。中国も今秋の共産党大会を乗り切れば対日改善に動くとの観測がある。

     7月にドイツで行われた日中首脳会談では首脳間の対話強化を確認した。早期の日中韓首脳会談でも合意し、改善ムードは高まっている。

     この機運を高め、対立から対話への転換を加速させる必要がある。

     改造内閣に「サプライズ人事」で入った河野太郎外相は就任5日目に早速、中国の王毅外相と会談した。

     南シナ海をめぐる批判に「失望した」と言う王氏に、「中国には大国としての振る舞い方を身につけてもらう必要がある」と切り返した。

     表向き厳しいやりとりに映るが、王氏は「あなたの父河野洋平氏は日中友好に心血を注いできた」と親しみのあることばをかけた。

     衆院議長を務めた洋平氏は現役を退いた今も王氏や中国外交トップの楊潔〓(ようけつち)国務委員らと個別に会談するなど太い対中人脈を持つ。

     河野外相ももともとアジア重視の姿勢だが、王氏は「親子2代」で日中関係改善を推し進めてほしいという思いがあるのではないか。

     岸田文雄前外相は官邸外交の陰に隠れがちだったが、河野氏は首相とのしがらみがない。外交のウイングが広がる転機になるかもしれない。

     この「時の利」と「人の利」を安倍政権は最大限に活用すべきだ。

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