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社説

虐待された子らの養育 里親・養親をどう増やす

 虐待などで親と暮らせない子どもの8割以上が児童養護施設や乳児院にいる。厚生労働省はそうした現実を抜本的に変え、里親や養親などによる家庭的な環境の中で育てていく方針を打ち出した。

     特に未就学の子の施設入所は原則停止する。3歳未満は5年以内、3歳以上も7年以内に里親委託率を75%にする目標を掲げている。

     子どもの健全な発達にはできるだけ早い段階から特定の大人との親密な愛着関係を築くことが重要とされているためだ。施設では1人の職員が3~6人の子どもの世話をしている。交代制のローテーション勤務では十分な信頼感や愛情の醸成が難しく、将来的に心身にさまざまな影響が出る場合があるとされる。

     先進諸国は20~30年前から、施設から家庭への転換を進めてきた。遅ればせながら日本も2016年の児童福祉法改正で「家庭養護」が原則となり、養子縁組あっせん法も同年末に制定された。

     問題は受け皿だ。児童養護施設と乳児院には現在約3万人の子どもがいるが、登録里親数は1万世帯にとどまっている。

     里親になる要件が厳しい上、支援策が乏しいため、意欲を持って里親になっても孤立して燃え尽きてしまうケースが多いといわれる。そのため継続して子育てできるかどうかの資格審査が厳しくなり、さらに里親が増えない状況を作っている。

     特別養子縁組の場合、縁組後は通常の親子と同等の扱いになるため、特別な公的支援が付かない。民間の福祉団体などが養親の支援を担っているが、国からの財政援助はなく、十分な活動ができない状況だ。

     厚労省は児童相談所と民間機関の連携を強め、里親や養親の支援機関を創設することを打ち出しているが、十分な財源を確保しなければ絵に描いた餅になることは明らかだ。

     幼児教育無償化のため「こども保険」が与党内で議論されている。社会的養護が必要な子どもたちの支援についても含めるべきである。

     児童養護施設や乳児院も施設内での子どもの支援だけでなく、里親や養親などの元で暮らす子どもたちの支援機関になるよう意識も支援スキルも変えるべきだ。社会全体でバックアップしなければならない。

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