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社説

岐路の安倍政権 自民党 「異議なし」体質の転換を

 安倍晋三首相が今回の内閣改造の大きな目玉にしようとしたのは、これまで首相と距離を置いてきた野田聖子総務相の起用だった。

     首相は「耳の痛い話も直言してくれた」と野田氏を評価した。今後は異論にも耳を傾けていくとの姿勢を見せたかったのだろう。

     安保法制や「共謀罪」法など国民世論を二分する法律を「反対する者は敵だ」とばかりに数の力で強引に成立させてきた首相である。政治姿勢を改めるのは当然だ。

     ただし同時に変わらなくてはならないのは自民党だ。「安倍1強」の下、異論というより、もはや議論そのものが乏しくなっているからだ。

     例えば憲法改正だ。支持率急落を受けて首相は自民党の議論に委ねる方針に転じたが、それまで党側はほとんど首相の言いなりだった。

     しかも400人を超える所属国会議員全員を対象に開いた7月の憲法改正推進本部の会合に出席したのは全議員の2割程度。そもそも関心がないのでは、とさえ疑わせた。

     例外がなくはない。受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案は党内で反対意見が収まらず、国会に提出できない状況が続く。だが、これは「活発な議論」という以前に、時代の流れを見誤っている姿を見せつけているだけだと言っていい。

     自民党は今、衆院議員の約4割を当選1、2回生が占める。安倍首相が自民党総裁に返り咲いた後に当選した議員だ。首相はこの若手を中心に「安倍色」のみに党を染めようとしてきた。議論なき政党にしてしまった首相の責任は大きい。

     一方で若手議員による国会審議などとは無関係の不祥事が相次ぎ、議員の劣化が深刻になっている。さまざまな要因があろうが、党として日常的に政策論議を重ねる習慣がなくなっているのも一因ではないか。

     かつての自民党にはハト派からタカ派まで混在し自由に議論を戦わせてきた。幅広さや多様性が国民に安心感を与えていたのは確かだ。

     その意味で今回、外相から党政調会長に転じた岸田文雄氏の役割は重要だ。多様な政策議論を重ねたうえで、決まったらそれに従う。そんな党に再度転換できるかどうか。岸田氏とともに「ポスト安倍」を狙う石破茂氏らにとっても課題となる。

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