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核のごみの「倫理的特性マップ」=粥川準二(科学ライター)

粥川準二さん

 原子力発電の最も大きな問題のひとつは放射性廃棄物、いわゆる核のごみを処分する場所である。

     7月28日、経済産業省は、放射性廃棄物を地下に埋める最終処分場を選定するための「科学的特性マップ」を公表した。火山に近かったり、活断層や油田など地下資源があったりする場所は「好ましくない」とされ、それらがない場所は「好ましい」とされた。さらに海沿いの地域は「輸送面でも好ましい地域」とされた。

     筆者の住む地域は「輸送面でも好ましい地域」らしい。

     このマップはあくまでも「科学的特性」に基づいて作成されている。今後の選定をめぐる議論に活用されるのだろう。しかし原発は単に科学的な存在ではなく、政治的、経済的、そして倫理的にも問題となるものだ。その廃棄物を処分する場所は、科学だけで決められるはずがない。

     「政治的」または「経済的」特性に基づくマップでは、人口が多く、政治や経済の中心となる大都市は「好ましくない」と判断される一方、過疎地が「好ましい」とみなされるだろう。原発が地方につくられてきた原理はこれである。

     では「倫理的特性マップ」はどうなるだろうか。「受益者負担」という異論のなさそうな原則では、むしろ電力消費地である大都市が「好ましい」場所になるはずだ。たとえば東京電力の管轄内であれば、当然ながら第1候補は東京である。

     敗戦から今日で72年。核時代は73年目に入った。戦争や原爆を知らない世代も原発事故は経験した。消費者、当事者として深く考えよう。


     林英一、金原ひとみ、長有紀枝、吉崎達彦、粥川準二の各氏が交代で執筆、毎週火曜日に掲載します。

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