メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ナビゲート2017

核のごみの「倫理的特性マップ」=粥川準二(科学ライター)

粥川準二さん

 原子力発電の最も大きな問題のひとつは放射性廃棄物、いわゆる核のごみを処分する場所である。

     7月28日、経済産業省は、放射性廃棄物を地下に埋める最終処分場を選定するための「科学的特性マップ」を公表した。火山に近かったり、活断層や油田など地下資源があったりする場所は「好ましくない」とされ、それらがない場所は「好ましい」とされた。さらに海沿いの地域は「輸送面でも好ましい地域」とされた。

     筆者の住む地域は「輸送面でも好ましい地域」らしい。

     このマップはあくまでも「科学的特性」に基づいて作成されている。今後の選定をめぐる議論に活用されるのだろう。しかし原発は単に科学的な存在ではなく、政治的、経済的、そして倫理的にも問題となるものだ。その廃棄物を処分する場所は、科学だけで決められるはずがない。

     「政治的」または「経済的」特性に基づくマップでは、人口が多く、政治や経済の中心となる大都市は「好ましくない」と判断される一方、過疎地が「好ましい」とみなされるだろう。原発が地方につくられてきた原理はこれである。

     では「倫理的特性マップ」はどうなるだろうか。「受益者負担」という異論のなさそうな原則では、むしろ電力消費地である大都市が「好ましい」場所になるはずだ。たとえば東京電力の管轄内であれば、当然ながら第1候補は東京である。

     敗戦から今日で72年。核時代は73年目に入った。戦争や原爆を知らない世代も原発事故は経験した。消費者、当事者として深く考えよう。


     林英一、金原ひとみ、長有紀枝、吉崎達彦、粥川準二の各氏が交代で執筆、毎週火曜日に掲載します。

    関連記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. モリカケ問題 政府答弁は論点のすり替え? ネットで話題「ご飯論法」
    2. 自民・萩生田氏 「男が育児、子供に迷惑」 持論を展開
    3. 毎日世論調査 加計問題、首相説明「信用できない」70%
    4. 森友 音声データに残る発言 交渉記録からなぜ欠落
    5. 自民党 「劣化激しい」の声 不祥事相次ぐ「魔の3期生」

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]