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余録

「なにをいってやんでえ…

 「なにをいってやんでえ、株ッかじりめ、……野郎、まごまごしやがるとはりたおすぞ」。落語「あくび指南」のまくらには「けんか指南」もでてくる。株ッかじりは他人のお株をかじる猿まねへの罵言(ばげん)という▲江戸のけんか指南は腕っぷしを鍛える話でなく、たんかの切り方を教えるということらしい。この勝負、決めるのは相手をののしる文句の面白さで、つまり周りの人々を多く笑わせた方が勝ちである▲相手のたんかをうまく切り返せば喝采(かっさい)を浴び、言葉に詰まって「閉口」すれば負けである。柳田国男(やなぎた・くにお)はこの「言葉争い」について「人を傷つけるための弓術が後には怪我(けが)をさせないための競技になったのと同じであります」と記した▲こちらのたんかの切り合いには周りの笑いはない。北朝鮮が米領グアム近海へのミサイル発射をほのめかせば、トランプ米大統領が「見たこともない砲火と激烈な怒り」で応じると口にした。額面通りに受けとれば笑うどころでない▲戦争をふりかざす瀬戸際(せとぎわ)政策で実利を引き出す手口では年季の入った北朝鮮である。片や内外の誰でも気に入らぬ相手にけんかを売るのが「政治」という型破りの米大統領だ。この未知の組み合わせを息をのんで見つめる周囲である▲ここにきて北朝鮮は「米国の行動を今少し見守る」とトーンを落とした。「きょうのとこは、これぐらいで許してやる」というわけか。相手ペースの言葉争いに巻き込まれず、無法者を追い詰める国際社会の結束をリードすべき米国だろう。

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