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社説

水銀規制の水俣条約発効 日本が世界の対策主導を

 水銀の使用や輸入を国際的に規制する「水俣条約」が発効した。水銀による健康被害や環境汚染を防ぐ国際的な枠組みが、本格始動する。

     条約名には、水俣病のような水銀被害を二度と起こさないとの決意が込められている。提案した日本は世界と手を携え、脱水銀社会への歩みを着実に進めていかねばならない。

     水銀は人への毒性が強く、神経障害などを起こす。環境に排出されると、分解されないまま世界を循環するやっかいな物質だ。このため、2013年10月に熊本県で開かれた国際会議で水俣条約が採択された。

     発効に伴い、限定された用途以外の水銀の輸出入が禁止され、既存の鉱山からの採掘も15年以内にできなくなる。蛍光灯や電池など一定量以上の水銀を含む製品の製造や輸出入も、20年末までに原則禁止される。

     日本は条約の締結に先立ち、国内法を整備した。蛍光灯の製造禁止などは条約の規定より3年早める。

     国内対策では、一般家庭などに残されている体温計など水銀含有製品の回収と適正処理が課題となる。水俣病が発生した熊本県でも、回収率は約1割にとどまるという。住民などへの一層の周知が必要だ。

     国内で回収された水銀の多くはこれまで、輸出されてきた。政府は特定用途での輸出を今後も認める方針だが、水銀被害を防ぐ条約の趣旨に照らせば、全面禁止すべきだ。

     途上国の小規模な金採掘では、鉱石から金を抽出する際に水銀が使われている。貧困層が従事していることから、経済的な影響も考慮し、条約は禁止には踏み込まなかった。日本を含む国際社会の継続的な支援が欠かせない。

     水俣病を経験した日本には、水銀の環境への排出を削減したり廃棄物から水銀を回収したりする技術がある。積極的に提供することで、世界の水銀対策に貢献できるはずだ。

     9月には水俣条約の第1回締約国会議がスイスで開かれる。胎児性水俣病患者の坂本しのぶさんらも参加し、水銀被害の根絶を訴える。

     水俣病の公式確認から60年余が過ぎても、いまだに被害の全体像は未解明のままだ。裁判闘争も続く。

     水俣の教訓を世界と共有すると言うのなら、政府は足元のこうした問題解決にも真摯(しんし)に取り組むべきだ。

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