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社説

白人至上主義とトランプ大統領 対立と分断をあおるのか

 あまりに無分別な発言である。

     米バージニア州で起きた白人至上主義団体と反対派の衝突についてトランプ大統領は「双方に非がある」と述べた。人種差別組織のクー・クラックス・クラン(KKK)などを喜ばせる発言に対し、改めて大統領の見識を疑わざるを得ない。

     米国における人種問題は火がつきやすく、時に社会の大きな混乱を呼ぶ。バージニア州の衝突では多くの人が負傷し、差別に反対する女性が白人至上主義者の運転する車にはねられて死亡した。

     そんな無差別的な殺傷を大統領が擁護すれば、抗議の火に油を注いで社会の安定を危うくするばかりだ。

     衝突の直後、トランプ氏は「多くの側」の憎悪と暴力を非難した。抽象的だと批判されると、KKKやネオナチなどを名指しして「人種差別主義は悪だ」と明言した。

     だが、その翌日は「誰も言いたがらないが」と前置きして「双方とも暴力的だった」と見解を変えた。二転三転の末、本音が出た格好だ。

     米国では近年、南北戦争の英雄の像や記念碑などを撤去する例が目立ち、バージニア州も1920年代の建立とされるリー将軍(南軍司令官)の像の撤去を予定している。奴隷制を支持した人々を顕彰するのは不適切だとする認識が、南部も含めて全米で醸成されてきたのだ。

     ところが今年、トランプ氏が大統領に就任すると撤去への反対運動が激しくなった。白人至上主義者とも重なるが、「オルト・ライト(代替的右翼)」と呼ばれ多文化主義や少数者の権利尊重、移民受け入れなどに反対する勢力が台頭してきた。トランプ氏の強力な支持層である。

     南北戦争や奴隷制、人種差別など米国が宿命的に背負う問題で論議が過熱するのは分からないではない。

     だが、暴力は容認できないし、バージニア以外でも衝突が懸念される折、融和を促すどころか、大統領自身が対立と分断をあおるような発言をするのは論外と言うべきだ。

     トランプ氏への反発は与党・共和党や経済界にも広がり、大統領の二つの助言機関は解散した。「代わりならいくらでもいる」とトランプ氏はうそぶく。しかし、自分がますます「裸の王様」に近づいていることに、早く気付くべきである。

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