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余録

天下分け目の戦いを描いた司馬遼太郎の小説「関ケ原」は…

 天下分け目の戦いを描いた司馬遼太郎(しば・りょうたろう)の小説「関ケ原」は、徳川家康の参謀、本多正信(ほんだまさのぶ)のくだりが異彩を放っている。家康は正信に寝所への出入りを許すほど信用していた。日夜謀略(ぼうりゃく)を相談する2人を司馬は「主従というより、謀友の仲、といっていい」と評している▲さて、こちらのトップと参謀の信頼関係は結局、どれほどだったのか。トランプ米大統領の最側近の一人で「影の大統領」とまで呼ばれたバノン首席戦略官が辞任した▲極右サイトを主宰し、大統領選では選挙参謀としていわゆる「ラストベルト」の票を掘り起こしたバノン氏は、トランプ政権誕生の立役者だ。だが、排外・米国第一主義など政権が抱える負の部分の象徴でもあった▲大統領執務室に自由に出入りし側近ぶりをみせつけていたが、国際協調重視の現実派からにらまれ、次第に孤立したようだ。白人至上主義デモ問題をきっかけにいっそう立場が弱まり、居場所をなくしての退場である▲危険思想家との見方もあっただけに、辞任は米国の健全さの表れなのかもしれない。ただ、ホワイトハウスでは高官が次から次へと辞任劇を繰り返している。常軌を逸した不安定さだ▲家康譜代の家臣からも嫌われていたという謀略家の正信だが、主君を晩年まで支え続けた。野に下ったバノン氏は今後、政権批判に転じる可能性が取りざたされている。一人、また一人とスタッフが去っていく。このまま大統領執務室で孤立を深めるようでは、「太平の世」は築けないだろう。

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