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社説

成人年齢の引き下げ 負の影響をどう抑えるか

 成人年齢を20歳から18歳に引き下げることが妥当かどうか。大きなテーマが国会で議論される。

     政府は今秋の臨時国会に民法改正案を提出する予定だ。満20歳を成人とする考え方は、1876(明治9)年の太政官布告に由来し、96年制定の民法に引き継がれた。改正案が成立すればそれ以来の変更となる。

     世界の多くの国が、18歳を成人年齢としている。選挙権年齢は既に20歳以上から18歳以上に引き下げられた。若者に、早い段階で大人としての自覚を促す意味は小さくない。

     ただし、成人年齢の引き下げについては、法務省が昨年実施した意見公募でも慎重意見が多かった。

     高校3年で成人になる生徒が出るため、競馬などの公営ギャンブルや、飲酒・喫煙の解禁年齢が同時に引き下げられた場合、青少年の健全な成長が妨げられ、生徒指導も困難になると教育界から懸念が出た。

     政府は、公営ギャンブルなどについて、20歳未満の禁止を維持する方向で調整中だ。ギャンブル依存症や健康への悪影響を考えれば妥当な判断だろう。

     若者は、成人と認められることに伴うリスクや責任への認識が必要となる。その最たるものが契約だ。

     成人年齢の引き下げにより18歳でも親の同意なしに、ローンやクレジットカードの契約ができる。現行では、民法の「未成年者取消権」によって、親が同意のない契約を取り消せる。また、未成年者に不利な労働契約を、親権者は労働基準法に基づき解除できる。

     そうした対象から外れる18、19歳を悪質業者やブラック企業からどう守るのか。負の影響を抑えるため中学・高校生段階で、リスクや対処法を学ぶ教育の充実が欠かせない。

     貧困家庭などが増える中で、福祉や教育などの社会的支援の機会に十分恵まれていない若者たちが多いのが現実だろう。

     成人年齢の引き下げによって自立ばかりが強調され、必要な保護政策が置き去りにされてはならない。

     少年法の適用年齢を引き下げるかどうかの問題も残る。更生教育が一定の効果を上げてきた現状をどう分析するかが焦点だ。一律の引き下げになじまない対象については、議論を尽くすべきだ。

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