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社説

小池版「国際金融都市」 劇的変化へ覚悟はあるか

 小池百合子知事のもとで東京都が推進する「国際金融都市」構想が動き出そうとしている。6月に発表した骨子をもとに秋には実行プランをまとめる予定だ。東京証券取引所がある兜町では、早くも再開発計画が走り始めた。

     ただ、何をもって国際金融都市と言うのか、目指すゴールが定かではない。「アジアのナンバーワンとして輝く」というが抽象的である。参入企業への優遇税制や外国人向け住環境の改善など、市場そのものというより、周辺インフラの整備に力点が置かれているようだ。

     国や都が「ロンドンやニューヨーク並みの国際金融センター」を目標に掲げて久しい。だが現実は反対に、海外の主要金融機関による撤退や事業縮小が相次いだ。アジアの中心の座もシンガポールや香港に奪われたままである。なぜか。

     東京が世界から資金や人材を引き寄せられない最大の理由は、もうけが期待しにくいことだろう。利幅が極端に小さな業務に多数の国内金融機関が甘んじている。革新的な技術を用いたサービスや商品を受け入れる土壌が乏しい。

     加えてこのところ顕著になっている相場の「官製化」だ。国債市場では、異次元緩和の結果、日銀の支配力が圧倒的になった。株式の世界でも、日銀が株を組み入れた投資信託を大量に購入しているため、相場が下がりにくくなるなど、市場のゆがみが指摘されている。

     都は、「2020年度までに金融系外国企業40社を誘致」との目標を掲げる。だが、金融系外国企業といってもさまざまだ。40社誘致することと国際金融都市になることは全くの別物である。

     国際金融都市構想には、「『東京版金融ビッグバン』の実現へ」という副題が付いた。英サッチャー政権が1986年に実施した金融ビッグバンを念頭に置いているようだ。

     ある日を境に証券市場の大胆な規制緩和を実行したのが元祖ビッグバンである。ロンドン市場の魅力が高まった結果、世界から資金や人材が大量に流入した。

     その際、英国の伝統ある金融機関が外国資本に買収されることも認めた。そうした劇的な変化を受けいれる覚悟があるか、ということだ。

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